新指標でみる救援投手の実力

救援投手の評価は難しい。ホールドポイントや、セーブ数は試合結果に左右される部分が多く正しく投手の実力を反映しているとは言えない。といって防御率やWHIPといった率モノは投球回数という分母が小さい救援投手の場合、一度の乱調が通算の成績にあたえる影響が大きくこちらも絶対的な評価基準としては物足りないものがある。そこで今回新しい救援投手の評価基準としてクオリティー・リリーフ(QR)という新指標を提案してみたい。

安心感のある投手はだれなのか?

先発投手の評価の1つにクオリティー・スタート(QS)という指標がある。先発投手が6回以上を投げ自責点が3以下だった登板数を集計するというもので、先発した試合でまずまずの結果を残した割合を計ることを目的としている。6回3失点でまずまずなのかという議論はあるものの、防御率、勝利数などと違い一登板ごとの評価をするという点ではほかにない役割を果たしているといえるだろう。このQSを参考に、救援投手が好結果を残したと判断できる登板を集計したものがQRである。QRを記録する条件は次の3つだ。(1)救援登板で1イニング以上を投げ、(2)安打を許さず、(3)無四死球だった登板。結果的には無失点でも、よくピンチを招く。登板すると必ず1人は走者を出す。といったことのない投手を評価してみよう、救援投手としての安心感を数値化してみようという試みである。

1位は広島ミコライオ、2位には意外な苦労人が

<表1>

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では早速今シーズンの数字をご覧いただこう。表1が両リーグの救援投手のQR率(QR/登板数、1イニング以上の救援登板が10以上の投手が対象)上位15人である。1位は好調広島のクローザー・ミコライオとなった。5月9日に左足内転筋を痛め、その後夫人の出産のために米国に一時帰国したこともあって登板数は13にとどまっているが、8登板でQRを記録。ここまでの試合で安打を許したのは3試合だけと例年以上の安定感で首位を走るチームを支えている。広島からは一岡も3位にランクイン、一岡は5月26日の西武戦まで防御率0.00と目に見える形で結果が出ていたが、QR率から見ても非常に優秀な結果を残していた。この2人に割って入った2位の投手は楽天の福山。入団2年目の2012年に当時の横浜から戦力外、その後楽天と契約した苦労人だ。昨シーズンは22試合に登板し、一軍での実績を積んできていたが今シーズンは開幕から結果を残し続け、勝ちパターンのリリーフとして定着。5月に入ってからのQR%は77.8%と現在絶好調だ。そのほかで注目は中日の福谷。四球が比較的多いためQR%は4位に留まっているものの、5月の被安打はわずかに1。浅尾、田島ら昨年までの主力救援陣が次々と離脱する中で獅子奮迅の活躍をみせている。

ワーストは巨人の鉄腕、楽天の守護神にも不安が

<表2>

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次にワースト部門もみてみたい。表2は両リーグ救援投手QR率の下位15人である。目立つのはDeNA勢。とくに勝ちパターンの継投を担うソーサ、三上の名前があるのは不安なところ。今のところ大きな破綻はきたしていないが、その兆候はあるといえそうだ。そして注目は楽天・ファルケンボーグと巨人の山口。ファルケンボーグは昨シーズンのQR率が56.8%で両リーグトップの数字だったが、今シーズンは半分以下の23.1%。ここまで7セーブと一応の結果はでているが内容的には疑問符がつきそうだ。最下位となってしまったには巨人の山口。2008年以降、39.6→38.2→39.6→40.5→45.6と例年高いQR率を記録していたのだが、昨シーズンは35.3%、そして今シーズンはQRわすか1回で7.1%と下落傾向。以前のような支配的な投球内容ができず、常に走者を背負う苦しい投球になっている。

<表3>

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最後に2004年以降の10シーズンのQR率トップ10をご紹介する(表3)。1位、もっとも安心感のある投球を1年間続けた投手は2012年の岡島だった。QR率は驚異の66.7%、3登板に2度は走者を許さなかったのである。この年の岡島はなんと8月末まで防御率0.00を維持するという空前の活躍だったのだが、内容も抜群であったことが証明されたのではないだろうか。ちなみに昨年MLBで完ぺきな1年を送ったレッドソックス上原のQR率も66.7%だった。このレベルの数字を残せば圧倒的な印象を残せるといえそうだ。

(文中の成績は5月31日現在)