単独首位!カープ好調の理由とは?

<表1>

<表1>

広島の勢いが止まらない。4月の月間勝利数16は球団新記録、27日の巨人戦はプロ野球史上初となる月間3本目の延長サヨナラホームランで勝利と、記録ずくめの快進撃で首位をキープしている。昨シーズンは16年ぶりのAクラスと球団史上初のクライマックスシリーズ進出を決めるなど、それまでの低迷がウソのような躍進。さらに、今シーズン開幕前には多くの評論家がAクラス入りを予想するなど、“一強”巨人の対抗馬として名前が挙がるほど期待のチームとなった。そんな期待に応え首位をひた走る、広島カープの強さの理由を検証していきたい。

4月27日を終えての広島の成績は表1の通り。防御率はいかにも首位のチームらしく、堂々リーグ1位の成績を残している一方で、打率はリーグ5位、「勝っているとはいえ今年も打線はたいしたことないな」というデータが出ているわけだが、実はそこに強さの秘密が隠されていた。

<表2>

<表2>

今シーズンの広島必勝スタイルは、スバリ「先制攻撃」。前述のとおりチーム打率はリーグ5位、得点数もリーグ4位タイと平凡だが、先取点を取った試合数は阪神と並んでリーグトップとなる17試合もあるのだ。なぜこんなに先制できるのか?その理由が表2にある。これはセ・リーグ6球団の初回の得失点数と、本塁打数をまとめたもの。広島の得点数はヤクルトに次いで2位の18点。そして本塁打数はトップの6本。チーム得点数の約15%、本塁打数の20%を初回に集中しているのだ。初回は必ず一番打者から始まるため、もっとも攻撃のイメージが作りやすいといえる。その初回に多くの点を奪えているという事実は、野村監督の攻撃プランが想定通り実行されていることを示しているのではないだろうか。

さらに特長的な点は失点の少なさだ。ここまでに初回に失った点はわずかに5。一度に2点以上を奪われた試合はまだない。チームの最大の武器である先発陣が非常に安定した立ち上がりで試合を作っているといえるだろう。理想的な先制攻撃と、先発投手の安定した立ち上がり、この相乗効果によって多くの試合で先手を奪うことに成功しているのである。

<表3>

<表3>

そして昨シーズンと大きく違う点が1つ。それが先制点を挙げた試合の勝率だ。昨シーズン先制した試合の勝率は.701。しかし今シーズンはリーグトップの.882と大きく向上している。絶対的守護神のミコライオ、ケガから復活を遂げ昨年後半から好調維持する永川勝の2人に加え、今シーズン急成長を見せる中田、そして巨人にFA移籍した大竹の人的補償で加入した新戦力・一岡で構成される救援陣が先制点を勝利に結びつけているのだ。その活躍ぶりをまとめたものが表3となっており、彼らの活躍なくして現在の順位は考えられないと言っても過言ではない。

<表4>

<表4>

また、救援4投手の登板と試合結果の間にも今年の広島が目指す野球が見て取れる。4投手のここまでの登板と試合の結果をまとめたものが表4となっている。青色になっている部分が敗戦を喫した試合だが、4月10日の巨人戦を除いて4人の登板はない。この試合では、1点ビハインドの状況で中田、一岡を投入し、結果的には追いつけなかったのだが、「勝ちに行く」という意味合いでの両投手の登板だったと思われる。しかしそのほかの6試合では、先発投手がリードを奪われた状態で降板し登板機会なし。「勝ちにいく試合だけ4人を投入する」ことが徹底され、これが重要なのだが、「勝ちに行けば勝っている」のだ。

さらに彼らの登板間隔にからも広島の強さが見えてくる。ここまで4人すべてが登板したのは3試合だけで、3連投した投手はまだおらず、一週間に4度登板したのも一岡の一度だけと、決して無理使いされていないのである。これはチーム内での投手の役割分担と、それに応じた投手起用が的確になされている証拠であり、そのプラン通りに試合が進むことで勝利が積み重ねられているのだ。そして思わぬ幸運も味方している。ここまでの日曜日でこの4投手が登板したのはわずか3回。偶然ではあるが日曜日とゲームの行われない月曜日の2日間、しっかりと休みが取れていることも好調の一因となっていそうだ。選手の成長と、的確な投手の運用が「投」に隠された強さの秘密と言える。

プロ野球界では「カープは鯉のぼりの時期まで」とよく言われる。鯉のぼりの時期までは好調だが、その後は失速するのがカープだ、という意味。確かにそういうこともあった。開幕から全力を出して勝ちに行くもののケガと疲れによって失速し、最終的には下位に沈むことも多かった。しかし、今年は違う。投手陣の充実に加え、我慢して起用してきた丸、菊池、堂林の成長、さらに新加入選手やルーキーの活躍で、これまで薄いと言われ続けてきた選手層にも厚みが増した。野村監督の采配にもシーズン終盤を見据える長期的な目線が感じられる。この強さは勢いだけではない。チーム一丸となって、1991年以来の優勝まで加速し続けてほしい。