【プレミア12】米国代表の実像は?同組のライバルを紹介

11月7日に開幕する、「世界野球WBSCプレミア12」。世界ランキング上位の12か国が参加する新しい野球の国際大会だ。日本(侍ジャパン)は予選で米国、韓国、ベネズエラ、ドミニカ共和国、メキシコと同組となった。一見強豪揃いに見える対戦相手だが、今大会はMLBの協力が得られず、メジャーリーグの40人枠に含まれる選手は参加が見送られた。そのため各国の代表も野球にさほど詳しくない方には馴染みのない名前が多く並び、各国の代表の実力のほども計りにくくなっている。

そこで今回はここまでに最終メンバーが発表された同組の3か国(米国、ベネズエラ、韓国)の代表を選手たちの年齢、所属リーグなどを中心に、いったいどういうレベルの代表なのか?を紹介してみたい。

■米国 中心はメジャー定着が苦しくなった選手たちだが、期待の若手も参加

米国(表1、2)は今回紹介する3か国の中では最も20代の選手が多いチームだ。入団から3年目の選手が5人、24才以下の選手は8人いて、このあたりの選手は「メジャー予備軍」といえる選手たちだ。ただチームの中心となっているのは、20代後半で、プロ入り7年目以降の選手たちだ。MLBのシステムではプロ入り6年目を終えてメジャーの40人枠に入っていない選手は基本的にシーズン終了後にフリーエージェントとなるため、各チームも多少でも期待の残る選手は6年目終了までに40枠に登録することが基本だ。つまり現時点で40枠に入っていないこれらの選手たちは、メジャーに定着することがかなわなかった選手ということになる。米国代表の中心は「メジャーに定着できなかった30才前の選手」といえるだろう。
表1

表2

次に代表選手が今シーズンプレーしたリーグを見ていただきたい。多くの選手は3Aでプレーしており、一度でもメジャーレベルでプレーした選手は3人しかいなかった。最も長くメジャーにいたのはマット・マクブライド(Matt McBride)で8月12日にロッキーズに昇格し、9月7日にマイナーに戻されるまでに20試合に出場している。今シーズンは打率.167で打点、本塁打ともに0に終わったが、2012年と14年には2本塁打ずつを放っていて、今回の野手のなかでは実績ナンバーワンの選手だ。ただ最も注目したい選手は2Aでプレーしていたブレット・フィリップス(Brett Phillips)だ。今シーズンはアストロズの1A+で開幕を迎え、66試合で打率.320、OPS.967を記録、2Aに昇格後も3割を超える打率を残し、夏のトレードでブルワーズに移籍した。シーズン終了時点でMLB.comが選ぶプロスペクト(有望株)ランキングでMLB全体の32位、ブルワーズのチーム内では2位に選ばれている。今回の代表選手の中では最も将来に期待をかけられている選手だといえる。
WBCでの代表選手と比べると大幅に格が落ちるメンバーとなったが、選手たちの「本気度」は近年最も期待できるだろう。これまでのWBC3大会で明らかになったように、オールスター級の選手を集めたチームは選手起用の縛りや、ケガを避けるためのプレーが目立ち「本気」で勝ちにきているという迫力が不足していた。その点、今回の代表選手の多くにとっては、この大会が選手生命の中でも最も大きい舞台になる可能性が高く、全力でプレーしてくるだろう。選手の経歴だけで「格下」と判断していると思わぬ苦戦を強いられることになるだろう。

■ベネズエラ メジャーリーガー不参加、ウインターリーグも開幕直後で非常に厳しいメンバーに

メジャーリーガーも参加するWBCでは毎回強力打線を構成しているベネズエラだが、今大会は苦しいメンバー構成となった(表3、4)。その原因は、メジャーリーガーの不参加に加え、国内リーグ(ウインターリーグ)がシーズン開始直後だということ。日本では若手選手の武者修行の場としての印象が強いウインターリーグだが、各国内での盛り上がりはMLBやNPBと何ら変わるところのないビッグイベントだ。当然多くの選手がウインターリーグへの参加を優先するため、この時期の国際大会に有力な選手が参加することは難しくなる。今回の代表選手をみてもそれは明らかだ。今回の代表選手の中で今シーズン中にMLBでプレーしたのはわずかに1人、3Aでも3人しかいない。代表の中心を占めるのは過去にMLBのマイナーでプレーし、近年はウインターリーグのみに参加している選手たちだ。これに該当する選手は28人中16人、この中で今シーズンのウインターリーグにも参加しているのは9人で、あとの7人は現在どこのチームにも所属していない。さらにMLBのマイナーや、ベネズエラのウインターリーグでもプレーした形跡のない選手も3人いる。選手のレベルとしてはかなり苦しい構成となった。選手の年齢も大半が30代で、これから大きく飛躍する選手が含まれている可能性も低いだろう。
表3

表4

その中で実績がずば抜けているのがホアン・リベラ(Juan Rivera)だ。2001年にヤンキースでメジャーデビューし、エンゼルス移籍後の2006年には打率.310で23本塁打、2009年にも25本塁打を放っていて、メジャー通算では132本塁打を記録している。ただメジャーでのプレーは2012年、3Aでのプレーも2013年が最後で、昨年はウインターリーグのみに参加、19試合で打率.121と衰えは隠せなくなっている。ほかに打者で期待がかかるのはフランク・ディアス(Frank Diaz)とオリックスのカラバイヨ。ディアスはメキシカンリーグでプレーして、打率.334、16本塁打を記録、メキシカンリーグでは毎年結果を残していて今回の代表の中では実績上位の選手だ。NPBから唯一出場するカラバイヨもこのメンバーでは主軸としての働きが期待されるだろう。
投手ではメジャー通算156勝のフレディ・ガルシア(Freddy Garcia)が有名どころだがメジャーでの登板は2013年が最後、今シーズンはドジャースの3Aで4試合に登板して防御率7.36と苦戦し解雇されている。ウインターリーグでプレー中の投手も5人いるが、目立った成績を残しているものはおらず打者以上に厳しい布陣となってしまった。
参加辞退が濃厚なメキシコを除けばB組の中では実力的に最下位とみられるので、日本としては確実に勝利が求められる相手となるだろう。

■韓国 打撃陣は超豪華、一方で投手陣には思わぬ事態も発生

韓国は国内リーグの主力選手が軒並み参加、NPBでプレーする2人を加えベストに近い代表となっている(表5、6)。年齢構成をみても3度のWBCと2度の五輪を経験しているベテラン投手の鄭大ヒョンから、20代前半の若手投手まで幅広く代表に選出されている。打者陣は打撃成績が非常に優秀な選手が数多く選ばれている。主砲の働きが期待される朴炳鎬は打率.343、53本塁打、146打点とすさまじい成績を残していて最注目の打者だ。そのほかの選手たちの成績も優秀で、100打点超えが朴炳鎬のほかに3人、20本塁打以上が7人、打率3割超えは10人が記録している。ただ韓国の国内リーグは、リーグ平均の打率が.280と非常に打高投低なこともあって、成績を額面通り受け取って過度の警戒をすることは避けたいところだ。
表5

表6
投手陣は打者に比べると少し見劣る印象だ。国内リーグの防御率上位10人中5人を外国人投手が占めているように、全体に層が薄く、さらに防御率トップの梁ヒョン種や19勝を挙げた柳熙寛も選ばれていない。さらに24日になってサムソンの3投手(尹盛桓、安志晩、林昌勇)の代表離脱が発表された。これはこれらの選手の海外での賭博疑惑が関係しているとみられるが、先発の柱だった尹盛桓と抑えの林昌勇が抜けてしまったダメージは大きいだろう。日本としては一にも二にも強力打線をいかに封じるかがテーマとなることは間違いない。