【プロ野球】岩村&多田野も参加、独立リーグの今

日本には日本プロ野球機構(NPB)以外にも、プロの野球リーグが存在することをご存じだろうか。四国を中心に試合を行う四国アイランドリーグplus(以下四国リーグ)、北信越とその周辺地域を地盤とするルートイン・ベースボール・チャレンジ・リーグ(以下BCリーグ)、2013年で活動を休止した関西独立リーグに参加していた2チームが新たに立ち上げたBASEBALL FIRST LEAGUE、そして女子のプロ野球リーグとして2010年にリーグ戦を開始した日本女子プロ野球機構の4つだ。このうち日本独立リーグ野球機構に所属する四国リーグは今年で11年目、BCリーグは9年目のシーズンを迎えた。今回は設立から10年前後を経たこの両リーグを、「育成」と「集客」という面で比較することで、2つのリーグの現状を紹介していきたい。

表1

表1

ますは両リーグの概要から紹介したい。四国リーグは2004年に設立され、2005年度より公式戦を開始した。四国4県に1チームずつを置いてリーグ戦を行い、途中福岡や長崎、三重のチームが参加することもあったが、このリーグ拡大路線はうまくいかず2012年以降は再び四国の4チームで試合を行っている。リーグの主たる目的である選手育成の面ではリーグ初年度から2人が育成ドラフトで指名され、2006年にはのちにNPBで首位打者を獲得する角中勝也が、ロッテからリーグ初の支配下登録枠のドラフトで指名(7位)を受け、2013年の支配下ドラフトでは又吉克樹がリーグ過去最高となる2位で中日に指名され入団、1年目から新人王を争う活躍をみせた。

一方のBCリーグは2006年に設立、2007年度に初のシーズンが開幕した。初年度は新潟、富山、石川、長野の4チームでリーグ戦を行ったが、2008年シーズンから群馬と福井の2チームが参加し、以降は6チームを2地区に分けて試合を開催している。そして今シーズンは7年ぶりの新加入チームとして福島と、埼玉北部を本拠とする武蔵の2チームが参加、4チームの2地区制で行われる。選手の育成では初年度に唯一指名された内村賢介(楽天→DeNA)がNPBでも結果を出したが、以降は苦戦が続き、初の支配下登録枠での指名となった前田祐二(オリックス)が一軍でも勝利を挙げているのが目立つ程度だ。

■育成力では四国リーグに軍配

表2

表2

ではまず2つのリーグの育成力を比較してみたい。表2はこれまでのドラフト会議での指名結果をまとめたものだ。支配下、育成、2つのドラフトでの合計指名人数では四国リーグの4チームが上位を独占した。とくに香川の指名数は飛び抜けた数字となっている。香川の所属選手は2006年以降のドラフトで必ず1人は指名されており、支配下選手枠での指名も7人でトップだ。NPB入り後も約半数の9人が一軍の試合に出場しており、育成という面では最も結果を出しているチームになっている。四国リーグの残り3チームは指名数がほぼ同数、愛媛は一軍経験者が香川に次ぐ6人とNPB入り後も結果を出せる選手が多く、徳島は支配下ドラフトで4人が指名されているように、ドラフト時の評価が高い反面、一軍で結果を残したといえる選手はまだいない。高知は人数で最も劣るものの、独立リーグ出身者としては最高の結果を残している角中を輩出している。さらに四国リーグは選手強化の一環として2015年から6月7月の2か月間リーグ戦を行わず、その期間に北米への遠征を行うことを決めた。北米の有力な独立リーグのチームと試合を行うことでよりいっそうの強化を図る目的だ。四国4チームがNPBへの選手輩出という面でそれぞれ結果を残している一方、BCリーグの各チームは結果が出ていない。初年度に指名された内村が楽天で戦力として定着する好スタートだったが、2年目以降は毎年指名者を出しながらNPBでの結果が出ていない。2012年以降はオリックスとソフトバンク以外のチームからの指名がなく、NPB球団の関心が薄れているきらいがある。

■大物の獲得で集客力を回復させたBCリーグ

表3

表3

次に集客面からの比較を行った。表3は両リーグの観客動員数の推移である。四国リーグが伸び悩んでいるのに対し、BCリーグの数字が順調に伸びていることがお分かりいただけるだろう。四国リーグは初年度に19万1,194人(1試合平均1,068人)を記録したものの、これは無料券を大量に配布した効果も大きかったようだ。2008年以降は一貫して下落傾向にあり、ここ3シーズンは10万人に届かず、1試合平均でも500人強と厳しい数字となっている。さらに今シーズン、リーグでは経費圧縮の方策として土日中心に行っていた試合を平日の連戦中心に変更、試合期間を集中させて高校野球などと競合する6、7月には試合を行わず北米に遠征することを決めた。この構想が集客にどのように影響するのか、裏目に出れば集客へのダメージは避けられず、これ以上の観客減はリーグの存続を危ぶませるものになるだけに今後の状況に注目したい。

表4

表4

育成では四国リーグに遅れをとっているBCリーグだが、集客では近年回復傾向にある。2012年には過去最低となる16万7157人まで減少していたが、2014年は前年より約2割増となり3年ぶりに20万人台を回復した。チーム別(表4)では群馬、石川の伸びが目立っている。この2チームに共通する要素が「元NPBの大物」の加入だ。群馬には2014年にアレックス・ラミレス(元巨人)を獲得、その集客力は抜群で1試合平均の観客数は約400人も増加、今シーズンもGMとして残留することになった。ただ昨シーズン終盤にはその集客力に陰りが見え始めていた。一時的な人気で終わらないためにも今年は重要なシーズンになる。石川は2013年の木田優夫(元日本ハム)獲得で観客数がアップ。木田は2014年には選手兼任のGMに就任し、営業面にも奔走、リーグ最下位クラスだった動員力を大きく向上させた。その手腕もあって今季は日本ハムのGM補佐に就任している。この2チームの成功もあってかこのシーズンオフには各チームが元NPB選手の獲得に力を入れ始めた。新規参入の福島は選手兼任監督として岩村明憲(元ヤクルト)を獲得、さらに真田裕貴(元ヤクルト)村田和哉(元日本ハム)も選手兼任コーチに就任している。信濃は高橋信二(元オリックス)、木田の去った石川は元メジャーリーガーでもある多田野数人(元日本ハム)を獲得した。また元NPB選手に限らず話題性豊富な選手が目立つのも特徴で、群馬はラミレスの甥であるヨンデル・ラミレスをドラフトで指名、新潟は同じくドラフトで桑田真澄の息子である桑田真樹を獲得した。石川には「ナックル姫」として知られる吉田えりも2014年シーズンから加わっている。四国リーグと比較(表5)しても元NPB選手の在籍率が多いことが一目瞭然だ。

表5

表5

■特色を出し始めた両リーグ

育成で結果を出した四国リーグ、集客を回復させつつあるBCリーグ、2つの独立リーグはそれぞれの特色を生かす方向で今後の発展を目指している。四国リーグが今シーズンから行う北米遠征は、選手の育成が最大の目的というリーグの理念に基づくもの。プロを目指して野球を続けたい選手たちのための場をつくる、というリーグ設立時の大きな目標から方向性がぶれずに進んでいる印象だ。NPBを目指すなら四国リーグ、という存在になる日がくればそれがリーグの成功といえるのではないだろうか。

一方のBCリーグも、もちろんNPBを目指す選手たちが野球を続ける場ではある。しかし群馬や石川の成功は、BCリーグがNPBをリタイアした選手やNPB復帰を目指す選手たちの受け皿にもなり得る可能性を示しているのではないだろうか。ラミレスや岩村といった大物選手の参加が大きな集客力を持つことが証明されれば、プロ野球選手がセカンドキャリアを過ごす場として確固たる地位を築けるだろう。NPBのチームがない地域で、地元に密着した「もう一つのプロ野球リーグ」という存在に進化していけるのか、日本野球界の発展のためにも奮闘を期待したい。