ラテと広告 ~Caféラテ7杯目~

カランコロン♪

年の瀬も押し詰まった築地村は、いつにも増して賑わっています。

ここ『Caféラテ』も、新年を迎える前に朝から大掃除でてんてこ舞い。

ラジ男くんは雑巾を手に窓ガラスを、手伝いに来てくれたテレ美ちゃんはテーブルを磨いています。

マスターはというと、既に厨房を片付け終え、自慢のカフェラテを淹れ始めました。

「2人とも、お疲れさま。もう十分きれいになったから、おしまいにしよう」

マスターに促されて掃除を終えた2人でしたが、この言葉を待ちかねていたように、テレ美ちゃんはラテ欄を読み出しました。

「年末特番が目白押しで、まだ、ちゃんとチェックかけてないんだもん。えーと、この3時間スペシャルは…」

横から覗き込んだラジ男くんの目に飛び込んできたのは、鮮やかな色合いで作られたバラエティー特番の広告でした。

「すごいね、その特番。右肩に大きな広告載ってるし、下の方にも四角い広告がある。それに、ラテ欄も同じ色の網が掛けられてる!!」

新聞ラテ欄の広告は小枠広告と呼ばれ、表札・突き出し・記事中・記事挟み・記事下に大別されています。

一般的に、表札広告とは右上または左下に表札のように縦長で掲載される広告です。幅が番組表2局分ほどあり、2段重ねすると1局分の長さに匹敵します。突き出しとは、表札を正方形に近い形で載せる広告で、記事右下や左下など隅に突き出されます。記事中と記事挟みは記事と記事の間に置かれ、前者は十数行、後者は数行の幅となっています。記事下はその名の通り、記事の下のスペースに掲載される広告です。

「ラジ男くん、ここ見て。昼間の番組でも特番の宣伝してるわ」

テレ美ちゃんが指さしたのは、この秋に放送したバラエティー特番の再放送でした。

ラテ欄には、再放送番組の内容は一言もなく、プライムタイムに放送される3時間スペシャルのことが書かれています。

「そうだね。最近は、そういう手法が目立つね」

マスターは新聞やテレビのことに詳しく、特にラテ欄にまつわるエピソードには事欠きません。今日は何を話してくれるのでしょう?

「何時にどんな番組が放送され、誰が出るのか、ラテ欄の基本情報は3つだよね。時間の横にタイトル、その下には簡単な内容、残りのスペースは出演者。テレビが娯楽の代表格だった時代は、それだけで十分だったんだ。だけど、今みたいに多様な楽しみ方ができるようになると、テレビ全体の視聴率も昔のようにはいかない。放送局は、あの手この手で読者の目を引き付けようと躍起になっているんだよ」

「1つ1つの番組枠が大事な広告宣伝ツールってわけね、マスター」

「その通りだね、テレ美ちゃん。放送局にとって数十文字のマス目は、とても有効な広告スペースでもあるんだ。だから、縦読みみたいな工夫が生まれたりするんだよ」

放送局では、番組ごとにプロデューサーがいます。

そのプロデューサーの下、様々な番組が作られるのですが、それをラテ欄という10文字1行の枠の中で、たくさんの視聴者に見てもらおうと腐心しているのが、番宣に携わる人達です。

その人達を含め、業界内では、ラテ欄に載せる文を『ラテ』と呼んでいます。

「ねぇマスター、ちょっと思いついたんだけど、俳句や川柳のように、五七五でラテ作ったら面白いかも!?」

「30文字使えるところを、わざわざ17文字にかい?」

「うん。文字がいっぱいあって見づらいなぁって思う時があるし」

「テレ美ちゃんらしい、ユニークな発想だね」

「そうだ、ツイートしてみよっと」

スマホを取り出すテレ美ちゃんの横から、何やらブツブツとつぶやきが聞こえてきます。

「Caféラテで 寒さ飲み干す テレ美ちゃん」

さっきまで思案投げ首で押し黙っていたラジ男くんが突然、詠み始めたのです。

「ん!? ずっと黙ってると思ったら、ラジ男くん…」

これには、テレ美ちゃんはもちろん、マスターも苦笑いするほかありません┐(´-`)┌

 

さて、今年もあとわずかとなりました。

皆さま、風邪など召さぬよう、ご自愛ください。

それでは、良いお年を。

カランコロン♪

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