「大した赤字でなくともダメなものはダメ」~「鏡割り」と口にする人は多いけど、和の心で言い直しを~

誤表記を見逃さないのが職務なら、記者に表記ルールを守らせるのも、校閲の仕事。日常生活の言い間違えなら聞き流せても、冠婚葬祭の席での失言は、笑って済まない場合があるもの。紙面編集も同様です。いくら煙たがられても、赤字を訂正せずにはいられない。

ということで、今回は「大した赤字でなくともダメなものはダメ」というエピソード。

成人の日。晴れて大人の仲間入りをした若者を祝う日は、「元服の儀」が行われる小正月に合わせて、もともと正月15日に定められました。それが1月第2月曜日に変更され、以来、ますます元服の意義が薄れたか、この日独特の高揚感が見られなくなってきた気がします。

とはいえ、スポーツ紙にとってネタに困らないのがこの日。会場で暴れる御仁、飛躍を誓うスポーツ選手の話題、新成人を見舞う不幸な交通事故ほか。ことに芸能界。アイドルが飲酒解禁をアピールしたり、新成人タレントが各地便乗イベントに出演したりと華やかなこと。

かなり前の芸能記事。D☆DATEの堀井新太は、新曲発売イベントで「この日に向け猛特訓したバック転を約1万人のファンの前で成功させ盛り上げた」。堀井は「めっちゃうれしい。(日本を)元気にします!」とガッツポーズしたとか。それで元気になれば言うことなし…というか、堀井って誰だ? いやいや。誰かさえ知らず取り上げた「芸能人音痴」の筆者が悪い。実は、以下の話題へ誘導しようと、無理やり適当な記事を拾ってきただけなんです。

西武時代の秋山選手(前ソフトバンク監督)の記事。「ホームランを打ち、バク転でホームインしたことで有名だが…」。知っている人は、すぐ分かる。堀井が披露したのはバック転、秋山選手のはバック宙。「ッ」の入らないバク転、バク宙も赤字扱いです。なんですか、「うちの田舎では爆宙」? なぜ「爆」か知らないが、方言じゃあるまいし。ダメなものはダメ。

はい、次! 成人式など祝いの席に、よく酒樽が登場しますよね。昨年の衆院選でもそうでした。テレビ画面に、勢いよく木槌を振って樽のふたを割る当選シーンが流れました。

「日本ハムは札幌市内のホテルで優勝祝賀会を行った。栗山英樹監督をはじめ、コーチや選手らが出席」。これ一昨年の記事か。写真には「優勝祝賀会で鏡割りする栗山監督」とある。

ここは「鏡開きをする」が正解。めでたい席で「割る」など忌み言葉を避けるのが日本人。成人式会場でやんちゃをやらかすお兄さんにも、こんな和の心を伝えたいけど…ま、無理か。

よくある赤字エピソード