「いただけない旬の赤字」~初練習も山の神も…「元旦」早々けちをつけて恐縮ですが~

明けましておめでとうございます。

本年も重箱の隅をつついてまいりますので、よろしくお付き合いのほどを。

元旦に届く年の始めの朝刊に、赤字が残っていては末代の恥。校閲担当は気合を入れて前夜、大みそか作業に臨みます。臨みます…臨みましたが…結果は…。いや、よしとこう。

本題に入りましょう。年明け早々のエピソードは「いただけない旬の赤字」。

一年の計は元旦にあり。さあ新年。仕事に勉強、ダイエットに就活…今年こそと決意を新たにするのが日本人。でもね、今年「こそ」って、旧年はダメでしたと認めているわけ? まあ除夜の鐘で煩悩も消えたはずだし、ここは心機一転、改めるなら「今でしょ」と。だから前年のことは「いいじゃあ、ないの」ってことで。「ダメよ~、ダメダメ」とは誰も言いますまい。

さて、スポーツ界。初詣の優勝祈願とか、初練習とか。元日紙面をにぎわす、今年こその「〇〇選手、元旦始動」。心意気や良し! ただ校閲担当は、それが本当に元旦なのか気が気じゃありません。元旦は元日の朝のこと。「朝もはよから」以外は、元旦とは言えないので。

某記事に「塾や予備校などは『元旦返上』で講習や試験を実施」うんぬん、試験は10時~昼に行い、その後で願掛け祈願をすると書いてある。ほら出た。「元日返上」が正解でしょ。

ところで、筆者が好きな年明けイベントといえば「箱根駅伝」。今年から名所「函嶺洞門」が通行禁止でコース変更、あの山の神・柏原竜二の記録が参考扱いとなるのは寂しい限り。

2012年、東洋大柏原(当時)は4年連続で箱根の山を制すと、前年の東日本大震災を受けて「みんながトップでつないでくれて、涙が出そうでした」。なぜか。山の神は、被災地の故郷福島に向け「僕が苦しいのはたった1時間ちょっと。福島の人たちに比べたら全然苦しくなかったです」と、使命感を帯びて走ったから。記事は「年が変わるからこそ、忘れてはならない。忘れさせないために箱根路を走るランナーたちがいる」と続く。いいねえ、感動的。でも…惜しい! 「年が変わり」は「替わり」の方がよかった。まあ、年末年始、年度替わりによく出る用字用語の赤字は、いわば常連だからなあ。え、元旦とか年替わりとか、正月早々細かいことでけちをつけるな? 失敬な。これでも松の内だから遠慮して2例だけにしたのに。年明けに限らず、その時季特有の赤字は多い。旬の赤字と言うには、しゃれにならないが。

よくある赤字エピソード