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ヤクルト連覇は黄信号、勝率と得失点でみるオープン戦

 いよいよ開幕するプロ野球、21日まで行われたオープン戦は阪神が7勝3敗5分という成績で首位となり、金本新監督にとっては幸先のよいスタートとなった。さてこのオープン戦の成績についてはいろいろな見方が語られてきた。ペナントレースにが全く関係ないといった無関係説から、最下位だけは良くない、最下位と3位は避けたいといったジンクスめいたものまで様々だ。オープン戦の成績がシーズンに影響するようなことは本当にあるのか?今回はこれまでよく語られてきた「順位」ではなく「勝率」と「得失点」に焦点をあてて検証してみたい。
なぜ「勝率」と「得失点」に着目するのか?それは「順位」がほかのチームの動向の影響を受ける相対的な結果であるのに対して「勝率」と「得失点」は自チームの実力によって生まれた結果である。12チームの中で何位だったという視点ではなく、どれだけ勝てたか、どれだけ点を取ったか、どれだけ点を失わなかったかという視点から結果を検証した。
表1
まずはオープン戦の勝率と公式戦の勝率を比較したものをご覧いただきたい。表1は2005年以降のシーズンでオープン戦の勝率と公式戦の勝率の相関関係を求めたものである。全体的にはかなりばらつきがあり、全体的にはオープン戦の勝率は公式戦にあまり影響しないといえそうだ。オープン戦の勝率が5割以上だったのは全132チーム中72チーム、そのうち30チームがシーズンでも5割以上の勝率だった。これは率にすると約58%でこれだけでは有意な結果とは判断しづらい。オープン戦で5割を超える勝率を残してもそれだけでシーズンの好成績が約束されるほどではないようだ。それでは勝率5割を基準にするのではなく、極端な成績を残したチームだけの結果をみるとどうだろうか?表中に示したオレンジの線はオープン戦の勝率が6割6分7厘の境界、緑の線は3割3分3厘の境界を示している。つまり2勝1敗以上のペースで勝ったチームはオレンジ線の右側、1勝2敗以下のペースで負けたチームは緑線の左側にプロットされている。この極端に勝った/負けたチームの成績に着目すると、全体的な様相よりもよりはっきりとした明暗が表れてくる。オレンジ線の右にプロットされた、つまりオープン戦の勝率が6割6分7厘を超えた20チームのうちシーズンでも5割以上の勝率を残したチームは14チーム、7割のチームが勝率5割を超える好成績を残している(表2)。勝率5割の場合の58%を上回る数字で、ここまでくると「吉兆」と言ってもいいのではないだろうか。今年のオープン戦で勝率が6割6分7厘を超えたのは阪神(7割)ロッテ(6割9分2厘)ソフトバンク(6割6分7厘)の3チームだ。前例通りにいけばこのうち2チームは勝率5割以上が期待できるということになる。
表2
 そしてよりシーズンの成績に結びついているといえるのが、オープン戦での勝率が振るわなかったケースだ。勝率が3割3分3厘以下だった17チーム中なんと14チームがシーズンでも勝率5割未満に終わっている(表3)。率にすると約82%という高い割合だ。オープン戦といえども負け過ぎは好ましくないという結果がはっきりと出た。2005年以上でオープン戦の勝率3割3分3厘以下からリーグ優勝したのは2008年の巨人1チームだけ、Aクライス入りもほかに3チームのみだ。今年勝率が3割3分3厘未満だったチームは4チームもあった。とくにセ・リーグはヤクルト(3割3分3厘)中日(3割8厘)、DeNA(3割8厘)と3チームが該当、これまでの傾向ではセ・リーグのBクラスはほぼ決まりということになってしまう。リーグ連覇のかかるヤクルトには気がかりな結果だ。
表3

次にオープン戦での得失点差とシーズン成績の関係をみていきたい。勝敗へのこだわりが薄いオープン戦では勝敗よりも得失点によりチームの力が表れているのではないか、という推測の元に調査を行ったところ勝率よりはシーズンの成績に結びつくという傾向が出てきた。まずは全体の結果をご覧いただきたい(表4)。先ほどの散布図より若干右肩上がりの傾向が見て取れる結果となっている。オープン戦での一試合当たりの得失点差がプラスだった63チームのうち約62%にあたる39チームがシーズンで勝率5割以上を記録しており、オープン戦勝率5割以上よりも好結果となった。今年のオープン戦では阪神、ロッテ、ソフトバンク、楽天、西武、広島、DeNAが得失点でプラスの結果だった。DeNAは勝率では12チーム中最低タイだったが得失点ではプラスという興味深い成績を残している。そしてここでも極端な結果を残したチームをみていくと、よりシーズンと直結する関係が表れてきた。
表4
表5はオープン戦での一試合平均得失点差が1.5を超えたチーム、表6はマイナス1.5を下回ったチームの一覧である。散布図中ではオレンジ線の右が1.5以上、緑線の左側が-1.5以下を示している。得失点が1.5を超えた12チームのうち8チーム、66.7%がシーズンで勝率5割以上を残していた。これはオープン戦の勝率6割6分7厘を超えたチームがシーズン勝率5割を超える割合(70%)を若干下回る数字となっていて、勝率より得失点が重要と言い切れる結果ではなかった。ちなみに今年のオープン戦で得失点差が1.5を超えたチームはない。逆に得失点差がマイナス1.5を下回ったケースではここまでで最もシーズンとの結びつきが強いという結果が出てきた。一試合当たりの得失点差がマイナス1.5を下回った11チームのうち10チームがシーズン勝率で5割未満に終わっているのだ。これはかなり分のわるい数字で、オープン戦といえども得点できず、失点を防げずという戦いぶりを続けていてはシーズンで巻き返すことは難しくなるということなのだろう。今年のオープン戦で得失点差がマイナス1.5を超えてしまったのはヤクルトと中日の2チーム、この両チームは勝率も3割3分3厘以下とかなり悪い状態でのシーズンスタートとなってしまった。オープン戦の結果でみればヤクルトの連覇は厳しいということになる。
表5
表6
ここまでオープン戦での勝率、得失点をみてきたが表2、3、5、6をみてお気づきになった点があるのではないだろうか。オープン戦で好結果を残したチームはパ・リーグが多く、成績が悪かったチームはセ・リーグが圧倒的に多いのだ。これはリーグ全体の対戦成績にも表れている。2005年以降のオープン戦でセ・リーグとパ・リーグのチームが対戦した試合のセ・リーグのチームの勝率は4割3分9厘しかなく、通算で72の負け越しとなっている。もちろんこれにはDHの使用不使用の影響もある。パ・リーグのチームだけがDHを使用し、セ・リーグのチームは使用しないという試合があるからだ。しかしそういったケースの試合を除いてもセ・リーグの負け越し数はまだ51もある。同じ条件で戦ってもパ・リーグの優位は変わらないのだ。これは交流戦で起きているパ・リーグの優位と同じ現象である。表7は2005年以降の交流戦とオープン戦でのセ・リーグの対パ・リーグ勝率の推移である。ほとんどの年で勝率が5割を割っているのがお分かりいただけるだろう。そして今年もオープン戦での対パ・リーグ勝率は3割8分1厘に終わっている。今年も交流戦でのセ・リーグの苦戦は濃厚、ということもオープン戦の結果からは見えてくるのではないだろうか。
表7

テレビ観戦のためのスポーツルール

テレビ観戦のためのスポーツルールを掲載しました。

陸上

▽走り高跳び

跳び越えたバーの高さを競う。背面跳び、ベビーロールなどの跳躍法があるが跳び方には規制がなく、どんな形でもバーを跳び越えればよい。ただし必ず片足で跳ばなくてはならない。助走の長さにも規定はない。競技者は助走路に2カ所マーカーを設置することができる。また、裸足でも靴を履いていてもどちらでもよい。
同じ高さを3回まで試技できる。ある高さをパスして次の高さに挑むこともできる。

▽棒高跳び

ポールを利用してバーを跳び越え、その高さを競う。ポールの材質・長さ・太さに制限はない。競技者は滑り止めの使用や手袋の着用が許される。助走の距離は決められていない。同じ高さで3回の試技ができる。ある高さをパスして次の高さを試技することもできる。体はバーを越えたがポールがバーに当たった場合や踏み切った後にポールを持つ下の手を上の手の上に移す、または上の手を更に上に移す行為も反則と見なされる。

▽走り幅跳び

助走をつけて遠くに跳ぶ能力を競う競技。着地点は踏み切り線に最も近い地点とし、踏み切り線からの距離を測定する。
踏み切り線は幅20㎝の踏み切り板の先端に設定されている。踏み込む足がこの踏み切り線を少しでも越えたら試技は失敗となる。また、踏み切り線手前でも踏み切り板を踏まないで跳躍した場合も失敗と見なされる。空中での姿勢は前方宙返り以外ならばどんな動きをしてもかまわない。

▽長短距離走

長さ400mのトラックで行われる競技。トラックは平行している2つの直走路と、半径も同じとする2つの曲走路からなる。トラック種目では、1回目のフライング(不正スタート)で失格となる。100m、200m、400m、各種リレーはクラウチングスタートを用いなければならない(スターティングブロックを使用しなくてはならない)。800m、1500m、5000m、1万mはスタンディングスタートで行う(地面に手を触れてはならない)。

▽十種競技(七種競技)

2日間で男子は10種、女子は7種の陸上競技を行い、その記録を得点に換算、合計点で競う。十種の1日目は100m、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m。2日目は110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500m。七種競技は、1日目が100mハードル、走り高跳び、砲丸投げ、200m、2日目は走り幅跳び、やり投げ、800m。

▽リレー

400mリレー(100m×4)と1600mリレー(400m×4)の2種目。個人競技といわれる陸上競技の中では数少ない団体競技。第1走者から第4走者までの4人でバトンを渡しつないで走り、そのタイムを競う。第2走者以降はリレーゾーン(テイクオーバーゾーン)であらかじめ加速してからバトンを受け取るため、単純に4人の記録を合計した数値よりも速い記録が出る。つまり、バトンワークの技術の優劣がタイムに大きく影響する。

▽ハードル

男子110m、女子100m、男女400mの4種目。10台のハードルが設置され、ハードルの高さは男子110mが1.067m、男子400mが0.914m、女子100mが0.838m、女子400mが0.762m。1台目までの距離は男子110mが13.72m、男女400mが45.00m、女子100mが13.00m。2台目以降のハードル間の距離は男子110mが9.14m、男女400mが35.00m、女子100mが8.50m。ハードルを倒しても構わない。

▽3000m障害

障害を通過しながら3000mを走るタイムを競う。障害物を28回、水濠を7回越える。約80mおきに跳躍があるため、スピードを維持しないと障害を越えることができない。またハードル競技と違い、脚を掛けても障害は倒れないため、転倒事故も起こりやすい。さらに、水濠の通過で体力を奪われることになるなど、競技の過酷さから、女子で正式種目となったのは2008年の北京五輪からだった。

▽やり投げ

陸上競技の投擲競技に属する種目で、助走をつけて、槍(やり)を遠くに投げ能力を競う競技。角度約29度のラインの内側に落下したものだけが有効試技となる。ただし、やりが地面に落下するまでは助走路に留まらなければならない。ルールでは危険防止のため、円盤投げ・砲丸投げ・ハンマー投げのような回転投法は認められていない。

▽競歩

常にどちらかの足が地面に接していること(両方の足が地面から離れると反則)、前脚は接地の瞬間から地面と垂直になるまで膝を伸ばすこと(曲がると反則)。競歩競技には上記2つ定義が定められており、その定義に違反しているおそれがあると競歩審判員が判断したときに、競技者は注意を受ける。赤カードが累積3枚になると、競技者は主任審判員より失格を宣告される。

▽三段跳び

1回の跳躍でホップ、ステップ、ジャンプを行う。ホップとステップは同じ足で連続的にすることになる。例えば、右足で踏み切った選手はさらにステップも右足、ジャンプを左足で行う。40m以上の助走路から助走し踏み切り板は砂場の手前の端から13m離れている。追い風2mを超えた場合には記録は公認されない

▽砲丸投げ

試技は3回。砲丸を遠くに投げる能力を競う投擲種目。投擲は、2.135mの円内から前方に行う。円の外側に出てしまうとファウル。円の中心とする34.92度の扇形の内側の地面に落下したものだけが有効な試技となる。円の中心から左右に横線が引かれており、その線の後ろ以外から出るとファウル。落下した砲丸の跡のうち投擲円に一番近い地点から、円の中心をつなぐ線上の円の内側までの距離が記録となる。

▽ハンマー投げ

試技は3回。投擲等のルールは砲丸投げと同じ。ハンマーを遠くに投げる能力を競う競技。回転数は選手によって異なるが、通常は3回転か4回転で投げる。

▽円盤投げ

試技は3回。円盤投げは、円盤を遠くに投げる能力を競う投擲種目。投擲は、2.5mの円内から前方に行う。円の中心とする34.92度の扇形の内側の地面に落下したものだけが有効な試技となる。円の中心から左右に横線が引かれており、その線の後ろ以外から出るとファウル。落下した円盤の跡のうち投擲円に一番近い地点から、円の中心をつなぐ線上の円の内側までの距離が記録となる。

▽マラソン

陸上競技の長距離走。42.195kmの公道コースを走り、順位や時間を競う種目。
コースの計測方法は、現在では自転車計測員が3台の距離計付き自転車で縁石から一定の場所を走行して3台の平均値で距離を求める方法が主流となっている。オリンピックや世界選手権では国ごとに出場選手の枠が決められており、協調行動を取ることができないため、ペースメーカーは用いることがない。

水泳

▽競泳個人メドレー(200m、400m)

1人の選手が(1)バタフライ(2)背泳ぎ(3)平泳ぎ(4)自由形の順でそれぞれの泳法の規則に従って泳ぎ合計タイムを競う。200mメドレーの場合は1つの泳法で50mを泳ぐ、400mメドレーは50m×2。ターンの際にはその泳法のゴールタッチのルールが適用されるため、泳法と泳法との変わり目のターンで失格になるケースがある。例えば背泳ぎから平泳ぎに移るターンの場合、仰向けでタッチする背泳ぎのルールが適用されるがタッチする以前に体を反転させてしまった場合などがこれにあたる。

▽飛び込み~3m飛板飛び込み

3mの高さに設置された弾力性の高い飛び板から飛び込み、その過程の演技の得点を競う。オリンピックでは男子6回、女子5回の試技を行いそれぞれの得点の合計点で順位が決まる。各試技は全て違う演技をする必要があり、演技の内容は事前に申告する。
審査のポイントは開始の姿勢、アプローチ、踏み切り、空中演技、入水、申告した演技通りかなどの要素で採点する。入水時に水しぶきをあげないノースプラッシュは評価点が高い。

▽飛び込み~10m高飛込み

10mの高さに設置された飛び込み台から飛び込み、その過程の演技の得点を競う。オリンピックでは男子6回、女子5回の試技を行いそれぞれの得点の合計点で順位が決まる。各試技は全て違う演技をする必要がある。
審査のポイントは飛板飛び込みと同様だが、宙返りの回数やひねりの回数が多いほど難易点が高くなる。

▽飛び込み~シンクロナイズドダイビング

3m飛板飛び込みと10m高飛びみの2種目がある。2名1組が同時に飛び込みその過程の演技と同調性の得点を競う。オリンピックでは男子4回、女子3回の試技を行う。試技の方法や審査のポイントは個人競技の飛板飛び込み及び高飛び込みに準じるが、これに同調性のポイントが加わる。2人のタイミングが合っていなければ高得点を与えられることはない。

▽10kmマラソン

10km泳ぐタイムを競う長距離種目。海・川・湖などの流れがゆるやかな水域で行われ、ブイによって10kmのコースが設定されている。泳法に規定はなく、選手は立っても失格にはならないが、歩くこと、ジャンプすることは禁止。浮力を得るようなウェットスーツも着用できない。キャップ(2枚まで)、ゴーグル、耳栓、ノーズクリップの着用は可。選手同士の接触や駆け引きなどレース戦略を練ることから「泳ぐマラソン」とも呼ばれる。

▽シンクロナイズドスイミング

デュエット(2人)とチーム(8人)の2種目がある。水深3m以上のプールでタイムではなく演技を競う。フィギュアとルーティンの2つの競技があるが、オリンピックでは音楽に合わせて演技するルーティン競技のみを採用している。あらかじめ決められた規定要素で競技者の技術力を採点するテクニカル・ルーティンと自由に演技するフリー・ルーティンの合計点で順位を争う。審査のポイントは技の完成度、同調性、演技の構成、芸術的な表現力など。

その他のスポーツ

▽近代五種

1人の選手が1日に、「射撃(ピストル20発競技)」「フェンシング(エペ)」「水泳(200m)」「馬術(クロスカントリー4km)」「ランニング(クロスカントリー)」で構成される全く異質の5種目に挑戦する競技。
☆ワンポイント
近代オリンピックの父、フランスのクーベルタン男爵が、古代アテネオリンピックの五種競技(レスリング、円盤投げ、やり投げ、走り幅跳び、短距離走)に倣い、近代オリンピックを創設する際に考案した。そのことから「古代」五種競技に対して「近代」五種競技と呼ばれる。数あるオリンピック競技の中で唯一、国際オリンピック委員会(IOC)から誕生した競技である。

▽射撃

銃器を用いて標的を撃つ精度の高さを競う競技。固定された標的を撃つ「ピストル射撃」と「ライフル射撃」、飛行中のクレーと呼ばれる標的をショットガンで撃つ「クレー射撃」の全15種目がある。
☆ワンポイント
クレー射撃に使用される「クレー」は、粘土を素焼きし、直径15cmほどの円盤状に加工され、見やすいようにオレンジ色に着色されており、「クレービジョン(粘土の鳩)」とも呼ばれる。

▽自転車

トラックや一般道、登山道にコースを設置し、その区間内の走破タイムを競う競技。「ロード」「トラック」「マウンテンバイク」「BMX」の4部門に分かれてメダルを争う。

▽テニス

男女別のシングルス、ダブルスと男女の混合ダブルスがある。5セットマッチの場合、3セットを先取した方が勝利者となる。1セットは6ゲームを先取、1ゲームは4ポイントを取った選手(ペア)が獲得する。
ただし、相手選手(ペア)に2ポイントの差をつけなければ1ゲームを獲得することができない。セットも同様に2ゲーム差をつける必要があるが、最終セット以外はタイブレーク制を採用することが多い。

▽バドミントン

男女別のシングルス、ダブルスと男女の混合ダブルスがある。2ゲームを先取した選手(ペア)が勝利者となる。21点を先取した方がそのゲームを獲得することができるが、20対20になった場合は延長戦になり2点の差をつけるか30点目を先取した方が勝利者となる。  
サーブをするのは直前に得点を得た選手。ネットに体の一部やラケットが触れたり越えたりした場合、またシャトルが身体に触れた場合も反則となり相手の得点となる。

▽ビーチバレー

コートは砂の上に設けられ、選手はショートパンツまたは水着を着用する。ジャージーやタンクトップを着用することもできる。帽子やサングラスの着用も認められる。1チーム2人で男女ともに種目がある。控え選手がいないため選手交代はない。 
コートの広さは片側8m×8mでバレーボールよりもそれぞれ1m短いが、ネットの高さは同じ。試合方法は1セット21点(第3セットは15点)、3セットマッチで行われる。

▽ハンドボール

7人(コートプレーヤー6人、GK1人)ずつの2チームがボールを相手のゴールに投げ入れて点数を競う。コートは40m×20m。ゴールは高さ2m×幅3m。競技時間は前後半30分ずつ。コートプレーヤーがボールに足で触れることは反則で、ボールの保有時間は3秒まで、ステップの範囲は3歩まで。守備側選手がゴールエリアに入った時など攻撃側選手が明らかな得点機会を阻止された時は7mのペナルティースローが与えられる。

▽ウエイトリフティング

“いかに重いバーベルを頭上まで挙げるか”というスポーツ。両足の線と胴体の面とバーベルの線を平行にすることが求められる。バーベルを単一動作で頭上まで一気に引き上げる「スナッチ」とバーベルを肩の高さまで挙上し(クリーン)、その後バーベルを真上に差し上げる(ジャーク)「クリーン&ジャーク」があり、競技者は各3回ずつ試技を行い、重量の和で順位を競う。トータル重量のみを争うオリンピックでは「スナッチ」で失格になると「クリーン&ジャーク」には参加できない。

▽水球

7人(コートプレーヤー6人、GK1人)ずつの2チームがボールを相手のゴールに投げ入れて点数を競う。競技プールの広さは、男子が30m×20m以内、女子が25m×20m以内。深さは2m以上。ゴールの大きさは、高さ90cm×幅3m。試合は1ピリオド8分間で第4ピリオドまでの32分間で行われる。第1、第3ピリオド終了後に2分間の休憩、第2ピリオド終了後(ハーフタイム)に5分間の休憩がある。

▽サッカー

1チーム11人。相手ゴールにボールを入れて時間内により多くの得点を記録したチームが勝ち。男子のオリンピックにおけるサッカー競技に出場する選手には年齢制限が設けられている。オリンピックが行われる前年の12月31日時点で23歳未満の選手に出場権がある。オーバーエージに選出された選手以外は規定に合う選手に入れ替える。女子には年齢制限はない。

▽ホッケー

試合時間は前後半35分ずつの70分間で行われ、5分のハーフタイムがある。時間内で得点を多くとったチームが勝者。同点の場合は延長戦を行い、得点が入った時点で試合終了のゴールデンゴール方式がとられる。決着がつかない場合は、PS (ペナルティーストローク) 戦が行われる。1人のゴールキーパーと10人のフィールドプレイヤーによって構成される。選手交代は自由で、なおかつ何回でも交代できる。

▽バスケットボール

5人対5人で試合を行う。ボールは手で扱わなければならない。ボールを保持したまま3歩以上歩くと反則。自チームのゴールにボールを投げ入れることにより得点。通常時は2点、通常時でも3ポイントラインより外側の場合3点。フリースローによる得点は1点。プレーヤーがコート内でボールを持った場合、そのチームは24秒以内にゴールしなければならない。10分を1ピリオド、第4ピリオドまで40分で行われる。

▽柔道

男子「重量級100 kg超」~「超軽量級60 kg以下」、女子「重量級78 kg超」~「超軽量級48 kg以下」の男女各7階級、トーナメント方式で行われる。試合時間は男子5分、女子4分間。投げ技や30秒間の抑え込み、関節技での「1本」が決まれば、試合は終了。「1本」が決まらない場合は、「技あり」「有効」の順にポイントが多い方が勝者。また、「技あり」2つで「合わせ1本」とカウントされる。

▽レスリング

全身のどこを攻め、どこを使って守ってもいい「フリースタイル」と、上半身の攻防のみで戦う「グレコローマンスタイル(男子のみ)」の2種類。男子は55kg級~120kg級の7階級。女子は48kg級~72kg級の4階級で行われる。試合時間は2分間3ピリオド制。フォール(相手の両肩をマットに1秒間つけること)を決めるか、各ピリオドでのポイント数で勝敗が決まる。

▽バレーボール

サーブで試合が開始され、ボールが地面に着くまでに全身のどこかで3回以内の打数で相手コートにネット越しにボールを返す。6人制によるラリーポイント制5セットマッチで行われ、3セット先取で勝利。第1~4セットまでは25点先取、24-24となった場合は得点に関係なく2点差がつくまで続行。セットカウント2-2で第5セットに入った場合は15点先取。第5セットも14-14となった場合は2点差がつくまで続行。

▽フェンシング

フルーレ、エペ、サーブルの3種目があり、剣による「突き」でポイントを争う。個人戦の予選は3分1セットで5本先取、決勝トーナメントは3分3セット、15本先取で勝利。フルーレの攻撃は「突き」のみで両腕・頭部を除いた胴体部分の有効面を突くと得点が入る。エペの攻撃は「突き」のみだが全身すべてが有効面となる。サーブルの攻撃は「突き」だけではなく「斬る」ことでも得点になる。有効面は両腕・頭部を含む上半身全部。

▽馬術

障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3種目がある。障害馬術は決められたコースに設置された障害物を飛越する競技でいかにミスなく規定時間内にゴールするかを競う。馬場馬術は馬の動きの美しさを競う採点競技でいかに躍動的に美しくステップを踏むか、正確な図形を描くかを競う。規定演技と必須の要素を自由に構成して音楽に合わせて行う自由演技がある。総合馬術は馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術の3競技を同一人馬で戦う。

▽ボクシング

競技者は10オンスとグローブとヘッドガードを着用、1ラウンド3分で3ラウンド競技を行い、ラウンド間に1分間のインターバルがある。ジャッジは5人で3ラウンド終了時にヒットの総計で勝者を決定する。同点の場合はボタンを押し過半数で決定する。得点となるヒットはグローブのナックル部分で、ブロックやガードされずベルトラインから上の体の前面か側面に直接当たった、腰の回転の伴ったパンチ。ノックダウンは加点されない。

▽トライアスロン

五輪は水泳1.5キロ、自転車40キロ、ラン10キロの順で合計51.5キロの短距離で順位を競う。タイム競技ではないため世界記録はない。水泳ではコースブイにつかまっての休憩は許されるが、ブイを使って進むことは反則となる。自転車では集団走行や他人を風よけに使っての走行は禁止されている。第三者の手を借りてはいけないため、パンクや修理も自身で行わなければならない。

▽アーチェリー

弓と矢を使って70m離れた標的を狙って射ち、矢が刺さったところで点数が決まる。合計点数が高い方が勝利。1射につき持ち時間20秒で時間内に矢を射る必要がある。個人戦は1対1、団体戦は3対3の合計点で点数を競う。個人戦は対戦する2人の選手が交互に射ち、3射×5セットの計15射で合計点を競う。団体戦は3選手×2射を交互に4エンド行い、計24射の合計点を競う。

▽ボート

大きなオールを1人1本持って漕ぐスウィープ種目と小さなオールを1人2本もって漕ぐスカル種目の2つに大きく分かれる。その他、漕手の人数や体重、艇の舵を操るコックス(舵手)が乗っているかによって種目が分かれる。レースは静水の直線2000mのセパレートコースで行われる。艇首を発艇線に揃えてスタート、ゴールラインを艇の先端を通過した順に順位を決める。

▽カヌー

カヤックとカヌーの2部門に分かれる。カヤック部門は、漕者が座り両端に水かきのついたパドルを左右交互に漕ぎながら艇を前に進める。カヌー部門は漕者が立て膝の姿勢で片方にブレードのついたパドルで左右どちらか片方のみを漕ぎながら艇を前に進める。レーン幅は9mで8レーンあり、各艇はフライング防止のための自動発艇装置に艇の先端を入れて横一線に並ぶ。ゴールラインに艇の先端が早く着いた艇から1位、2位となる。

▽セーリング

種目により1チーム1~3人で乗り、風下に設置されたスタート地点から一斉にスタートし、指定されたルートを回る速さを競う。順位が高いほど低い得点を獲得し、第1レースから最終レース(メダルレース)までの合計得点が最も低いチームが優勝となる。競技の進行には国際的な海上ルールが採用される。レース中の衝突・針路妨害などで不利を被った場合はレース後に抗議書を提出、審判団が面接審議行い、判決を下す。

▽テコンドー

男子は58kg以下級~80.01kg超級の4階級、女子は49kg以下級~67.01kg超級の4階級。競技時間は2分間の3ラウンド制で、第3ラウンド終了時点での獲得ポイントで勝敗が決まる。1点…胴プロテクター部分に拳または足による有効な攻撃。2点…胴プロテクター部分に有効な回し蹴り。3点…頭部は鎖骨より上部に足による有効な攻撃。4点…頭部は鎖骨より上部に有効な回し蹴り。膝による攻撃や、顔面への攻撃禁止。

▽バレーボール

サーブで試合が開始され、ボールが地面に着くまでに全身のどこかで3回以内の打数で相手コートにネット越しにボールを返す。6人制によるラリーポイント制5セットマッチで行われ、3セット先取で勝利。第1~4セットまでは25点先取、24-24となった場合は得点に関係なく2点差がつくまで続行。セットカウント2-2で第5セットに入った場合は15点先取。第5セットも14-14となった場合は2点差がつくまで続行。

阪神最後の本塁打王は?チーム別個人タイトル獲得事情

 プロ野球ファンにとってペナントレースの行方とともに気になるのが打者や投手の個人タイトルの行方だろう。贔屓チームの選手がタイトルを獲得するのはうれしいものだ。さてこの個人タイトル、これまでの獲得者の所属チームに注目するとチームごとに得意な部門、苦手な部門があることがみえてくる。今回は現在表彰の対象である打者6部門(首位打者、最多本塁打、最多打点、最多盗塁、最高出塁率、最多安打)と投手6部門(最優秀防御率、最多勝利、最多奪三振、勝率一位、最多セーブ、最優秀中継ぎ)に加え、最優秀選手(MVP)、最優秀新人選手、沢村賞について、2リーグ制となった1950年以降の66シーズンの獲得者を調査、それを所属チーム別に集計を行った。以下ではその結果をご紹介していきたい。なお集計の対象は連盟の表彰対象であったシーズンの獲得者とした。また最多セーブは1976年(パ・リーグは1977年)から2004年の間は連盟の表彰対象であった最優秀救援投手(セーブポイントが対象)の受賞者を集計の対象としている。そのほかの部門の連盟の表彰対象だったシーズンは表の注釈をご参照いただきたい。
 まずセ・リーグのチーム別打撃部門タイトル獲得回数が表1だ。いわゆる「三冠」である首位打者、最多本塁打、最多打点の3部門ではいずれも巨人の数字が群を抜いている。とくに打点では66シーズン中29回と4割を超える獲得率になった。これはもちろん巨人の誇る2人のレジェンド、王貞治と長嶋茂雄の貢献が大きい。この3部門で2人が獲得したタイトルの合計は46とチームの総計である76回の約60%を占めている。ただこの2人を除いても巨人から出た首位打者は8人、本塁打王は4人、打点王は7人と他球団並みの数字が残っている。三冠と最高出塁率では巨人が席巻してきたセ・リーグだが、最多盗塁では広島が獲得回数、人数ともに1位となった。高橋慶彦、野村謙二郎、緒方孝一と3度タイトルに輝いた選手を3人も輩出している。広島球団の伝統として「機動力野球」が挙げられることが多いのはこういった実績があってのことだろう。]
表1
 パ・リーグ(表2)では部門ごとにチームの特色が表れた。西武は直近8年間で6度本塁打王を獲得している中村剛也の存在が大きく最多本塁打部門でトップ、13年連続盗塁王という大記録を持つ福本豊がいたオリックス(当時阪急)は最多盗塁を12球団でも最多の24回獲得している。日本ハムは2012年までの63シーズンで一度も盗塁王を輩出したことがなかったが、2013年に陽岱鋼がチーム初の盗塁王となると、そこから西川遥輝、中島卓也と3年連続で盗塁王を誕生させている。そして12球団最多となる12人の首位打者を輩出したのがロッテだ。古くは東京オリオンズ時代に山内和弘、榎本喜八という大打者が所属、80年代には落合博満が5度の首位打者となり、2000年以降も福浦和也、西岡剛、角中勝也とコンスタントに首位打者を生んできた。楽天の数字が少ないのは2004年にチームが誕生したため、それでも12年間で4部門のタイトルを獲得し、残るは最多安打と最高出塁率となっている。
表2
 セ・リーグの投手部門では打撃部門より巨人偏重の傾向が薄く、中日の健闘が目立つ結果となった。とくに最多勝部門ではリーグトップの15回、11人の投手を誕生させている。2000年代の16シーズンで6度の最多勝を獲得し、それまでトップだった巨人を追い抜かした。また岩瀬仁紀に代表される近年の救援陣の充実もあって最多セーブ、最優秀中継ぎでも両リーグ最多の獲得回数を誇っている。2002~2012年の11年連続Aクラスはこの投手陣あってのものだった。阪神は同じ伝統球団である巨人と比較すると目立つ部門が少ないが、奪三振部門だけは別だ。2012年からは3投手(能見篤史、ランディ・メッセンジャー、藤浪晋太郎)で4年連続のタイトル獲得、過去には3度このタイトルを獲得した井川慶もいて12部門中唯一リーグトップの数字を記録している。広島は勝率第一位と最優秀中継ぎ投手をまだ輩出していない。楽天以外のチームで投打12部門のタイトルの中に未獲得の部門が残っているのは広島だけだ。
表3
 パ・リーグではソフトバンクと西武が2大勢力となっている(表4)。ソフトバンクは奪三振、勝率、セーブ、中継ぎの4部門でリーグトップの獲得回数、西武は最多勝、防御率という主要2部門がトップだった。ただ西武は防御率が2004年の松坂大輔、最多勝が2009年の涌井秀章が最後の獲得者、2010年代に入ってからは数字が伸びていない。パ・リーグの最多奪三振部門は同じ投手が何度もタイトルを獲得するケースが多く、27年間で14人しかタイトル経験者がいない。日本ハム、ロッテ、オリックスの3チームのタイトル獲得者は1人だけだ(ダルビッシュ有、伊良部秀輝、金子千尋)。
表4
 ここまでで投打の12部門を紹介したが、次に記者投票で決まるMVP、新人王と選考委員によって選出される沢村賞の状況をみていきたい(表5)。野球選手としての最高の目標の1つでもあるMVPを最も獲得しているチームはやはり巨人だった。ここも王と長嶋の2人で14回の獲得回数を稼いでいる。ヤクルトは7人で8回の獲得と目立つ数字ではないがこのうち4回、4人は外国人選手だった。これまでMVPを獲得した外国人選手は9人で、約半数がヤクルトの外国人選手ということになる。さらに巨人で2度MVPに輝いたアレックス・ラミレスも最初に入団したチームはヤクルトなので、その外国人選手発掘力は相当なものだといえるだろう。沢村賞は1988年までセ・リーグの投手のみが選考対象だったためパ・リーグのチームの獲得回数は少ない。日本ハムは2007年のダルビッシュ有、オリックスは2014年の金子千尋が初めて獲得、これで残る沢村賞未獲得チームはロッテだけとなった。
表5
 最後に各部門のタイトル獲得から最も遠ざかっているチームを紹介したい(表6)。打撃部門で最も遠ざかっているチームが阪神とロッテで、阪神は最後の本塁打王が1986年のバース、ロッテは最後の本塁打王と最高出塁率選手が同じく1986年の落合博満だ。2人は同年のセとパの三冠王、ともにチーム史に残る大打者以来本塁打王が出ていないというのは不思議な偶然である。投手部門では先にも挙げた勝率と中継ぎ部門で広島が未獲得、広島は最多セーブも1991年の大野豊以来輩出できていない。本塁打王から遠ざかるロッテはMVPも同年の落合以来誕生していない。日本一となった2005年、2010年もMVPは他チームの選手だった。そもそもMVPは年間の勝率1位チームから選出されることが多いが、ロッテが最後に勝率で1位となったのは1974年が最後(2005年は勝率では2位)で。最も勝率年間1位から遠ざかっているチームでもある。DeNAはセ・リーグの球団では最も沢村賞から遠ざかっており、最後の獲得は1983年の遠藤一彦である。DeNAは最多勝が1993年の野村弘樹、防御率は1992年の盛田幸妃が最後と先発投手の主要なタイトルを長らく獲得できていない。
表6

良い打者の条件は何?P/PAが示す好打者とは

 P/PAという指標をご存じだろうか。これはある打者が打席(PA)ごとにどのくらいの球数(P)を相手投手に投げさせているかを表す指標で、数値が大きくなるほど打席での「勝負が遅い」打者であるということになる。よく言われるように野球は、どんなによい打者でも6割から7割は凡退をするスポーツである。この多くの凡退の打席をいかに内容のあるものにできるか、というのは打者にとって重要な資質の一つだろう。この1打席ごとの内容を比較的簡単にある程度評価することができるのが「P/PAの良し悪し」なのだ。1打席あたりの被投球数が多いということは、たとえ打ち取られたとしても投手に多くの投球をさせているということであり、相手投手を疲労させるという意味で少なくとも多少のダメージは相手に与えているということになる。この点においてP/PAが大きい打者は他の一般的な指標、例えば打率や打点などが優秀ではないにしてもチームにとって有益な選手となっているのである。
 ただこのP/PAが大きくなるということは一つの弊害を生む。それが三振率(何打席に1回の割合で三振をするか)の増加だ。相手投手に多くの投球をさせると、当然のこととしてストライクを奪われる回数も増加するので、必然的に三振の数も増える。三振はその時点でアウトが確定するという意味で相手にとって一番安全なアウトの取り方であり、攻撃側にとっては「何も起こりえない」という意味でできるだけ避けたい打席結果だ。できるだけ三振は避けたいが、簡単に打席を終わらせることも避けたい。P/PAを良化させるためにはこのジレンマを乗り越える必要があり、これは打者にとって難しい問題である。そこで今回は各打者のP/PAと三振率の相関をみることで、それぞれの打者がこの問題にどのように対処しているのかということを見ていきたい。

 表1は昨シーズンの公式戦で100打席以上を記録した選手のP/PAと三振率の相関関係を表したものである。縦軸は三振率で上に行くほど数字が大きくなる、つまり三振をしにくい打者であることを示し、横軸はP/PAの値で右に行くほど被投球数が多い、つまり「打席での勝負が遅い」打者であることを示している。前に述べたように基本的にP/PAが大きくなると三振率は悪化するので、全体としては右肩下がりの傾向が現れることになる。
表1
 さてこの中で最も極端な傾向を示した打者が銀次(楽天)だ。銀次のP/PAは100打席以上の打者185人の中で最低の3.31と昨年最も「勝負の早い」打者だった。その結果三振率は18.63と、こちらは185人中最高の数字となった。P/PAが両リーグ最低ということで今回のテーマでは評価しづらい結果となってしまっているが、早い勝負の結果として最も優秀な三振率を記録していることは、「三振しない」という確固たる打席での姿勢が結果として表れているという点で素晴らしい打者ということはできるだろう。
 逆に最も優秀なP/PAを記録したのは今シーズン西武から巨人に復帰した脇谷である。昨シーズンのP/PAは4.59という数字でこれは銀次より1打席あたり1球以上多い数字だ。これはどのくらいの差なのか?昨シーズンの数字では脇谷は打席数が銀次より82少なかったものの、被投球数は76上回っていた。1打席あたり1球とはいえシーズンを通すとかなりの数字になることがお分かりいただけるだろう。脇谷は両リーグ最高のP/PAを記録しつつも三振率は100打席以上の打者の平均三振率5.79とほぼ同じ数字に止めており、総合的に内容の濃い打席でのアプローチを実践できていたシーズンだった。
 そして注目をしていただきたいのがグラフで右上のゾーンにプロットされている選手たちである。このゾーンはP/PA、三振率がともに良好なことを示しており、ここには先に挙げた「P/PAを良化させると三振率が悪化する」というジレンマをある程度克服した打者がプロットされているのである。中でも総合的に最もこの2つの要素を両立させていたのが田中賢(日本ハム)だ。昨シーズンは185人中10位となるP/PAを記録すると同時に、11位の三振率を記録、両リーグで最も「簡単に打ち取られない上に三振もしにくい」打者だった。もともとは年間100三振を2度記録したこともあり、さほど三振しにくい打者というわけではなかったが、年齢をかさねるごとに三振率が良化、その上で優秀なP/PAはキープするという理想的な進化をしてきた打者でもある。
 田中賢のほかにもグラフ上では9人の打者の名前を挙げた。中にはシーズン安打記録を更新した秋山や西岡、角中といった首位打者経験者の名前があり、一般的に「好打者」のイメージを持たれる打者が多いのが特徴である。その意味最も注目したいのが日本ハムの近藤だろう。昨シーズン残した数字は、高卒4年目、レギュラー定着1年目にして非常に優秀な打席でのアプローチが達成できていることを示しており、今後の成長に非常に期待が持てる選手だ。

 最後に逆のゾーン、つまり「打席での粘りはなく三振もしやすい」ということを占めるゾーンに含まれてしまった選手を紹介しておきたい。表中の5人の選手は最も左下よりにプロットされてしまった選手たちだ。やはり打撃に課題がある捕手の名前が多くなる結果が出た。中でも松井雅(中日)はP/PAが185人中165位、三振率が178位と全く振るわない数字を残してしまった。その結果打率も100打席以上の選手ではワーストとなる.135に終わり、出塁率も.179だった。いかに捕手といえどもここまで打てないと厳しいものがある。昨シーズンは開幕スタメンに起用されるなど期待も大きい選手だがまずは打席でのアプローチから改善する余地があるだろう。また井手(DeNA)はプロでの年間四球数が最多でも9という球界でも有数の四球を選ばない打者である。打席での勝負が早いことは悪い面ばかりでもないが、昨シーズンは自己最多の4本塁打を放つ一方で、三振率も自己ワーストに近い3.64と早い勝負のよさを全く生かせなかった。主に打撃面での貢献が期待される選手であるだけにこの点での改善に期待したい。

マー君、ダルビッシュ..エースの穴はどうやって埋まってきたか?

 近年MLBへの人材流出が続くプロ野球界、とくに投手では田中将大(元楽天)やダルビッシュ有(元日本ハム)といった球界を代表する選手が必ずといっていいほどMLBへと移籍していく状況だ。今シーズンも前田健太(元広島)がドジャースへと移籍した。彼らはチームだけでなく日本球界でもトップクラスの選手なので、去られてしまったチームにとって戦力的な穴は極めて大きいものとなる。表1は近年MLBへ移籍した投手のうち、移籍前年に所属チーム内で最多の投球回数を記録していた投手の一覧である。いずれも移籍時点では日本有数の実力を備えていた投手たちであることには異論がないだろう。では彼らが移籍した後、チームはどうなってしまったのか?ここからはそれぞれのケースを振り返ることで「大エースの抜けた穴」について検証していきたい。
表1

過去最も大きい「穴」となったのは2013年オフにヤンキースに移籍した田中のケースだろう。2013年シーズンの田中は27試合に先発、チームはそのうちの26試合で勝利、先発試合の勝率は.963という空前のものだった。楽天はこの年日本一となったが最大の貢献者であったことは間違いない。この年田中が投げたイニング数は211。翌年この211イニングはどうなったか?前年位164回2/3を投げていた則本がイニング数をさらに伸ばして199回1/3を記録、エースとしての座は則本に引き継がれた。そして失われたイニング分を埋めることになったのが、2013年はケガのため全休していた塩見と、ルーキーの松井裕だ。この2人は合計で37試合に先発し、イニング数は214回2/3と量の面の穴埋めには大きく貢献、しかし先発試合の勝率.963という「質」の
面は埋められるものではなく、この2人の先発試合でのチームの勝率は.471に止まった。結果として2014年の楽天は前年から勝率が.138も下落、順位も最下位に転落してしまった。211イニングという「量」に加え、9割を超える勝率という高すぎる「質」を伴っていた田中の穴は近年最大といえるだろう。
表2
 次に大きい「穴」だったのが2006年オフにレッドソックスに移籍した松坂のケースだ(表3)。田中の勝率.963には及ばないものの2006年の松坂先発試合の西武の勝率は.760と今回の7つのケースの中では2番目に高いものだった。この穴をある程度埋めたのがそのオフに入団した岸だった。岸は前年に松坂が記録した186回1/3には及ばないものの156回1/3を投げて大部分をカバー、チームの勝率も.565と好成績だった。しかし勝率.760という「質」は1人の新人の活躍で埋まるものではなく、西武の勝率は.132も下落、順位も前年の2位から5位へと大きく後退してしまった。ただし岸はその後も2ケタ勝利7回と順調に成長、エースの座自体はスムーズに引き継がれた。
表3
 ここまでの2チームとは対照的に「穴を埋めきった」のが2012年の日本ハムだ。この年の日本ハムは前年に18勝6敗、防御率1.44と圧倒的な成績を残し、232イニングも投げていたダルビッシュがレンジャーズに移籍した。この232というイニング数は今回のケースの中では最多のもの。「量」の面では最大の穴だった(表4)。この穴埋めに最大の貢献を果たしたのがプロ入り6年目、前年は一軍で0勝だった吉川だ。この年の吉川は173回2/3の投球回数を記録し14勝を挙げる大活躍、先発試合の勝率は前年のダルビッシュを上回る.708というもので「質」という埋めがたい穴を埋めてみせた。そして「量」の面では多田野、八木という過去に実績ある中堅投手が復活、前年の先発回数は多田野が0、八木は3回というものだったが、この年は2人合計で30回の先発をこなして穴埋めに貢献した。この結果チームは前年を上回る勝率を記録し優勝、見事にエース流出のシーズンを乗り切ってみせた。
表4
 ただしこの日本ハムのケースでは前年にリーグ覇者のソフトバンクが同じようにエース流出のシーズンとなっていたことが、好成績につながったことも間違いないだろう。2012年のソフトバンクは日本ハムよりさらに大きな穴に直面していた。前年16勝でチームトップの184回2/3を投げた和田がオリオールズに移籍したことに加えて、先発試合の勝率では和田を上回り、最多勝も獲得したホールトンと、チーム4位となる171回1/3を記録した杉内が揃って巨人に移籍してしまったのである。チームの総投球回数の4割以上を投げていた3投手が流出するという総合的には近年最大の穴は埋まるものではなかった。前年34回2/3に止まっていた大隣が177回1/3を投げて左のエース格に成長し、さらに高卒ルーキーの武田や復活した新垣などが奮闘したものの、チームの勝率は.149も下がって順位も3位に後退してしまった。
表5
 エースの流出を中継ぎ投手の負担増で埋めることになったのが2007年の阪神だ(表6)。2006年に209回を投げていた井川の穴埋めとしてボーグルソン、ジャンという新外国人投手を獲得するも規定投球回には届かず、前年にローテーション投手だった福原、安藤まで大きく投球回数を減らしてしまい、このシーズンは1人も規定投球回数に届かないという異例の先発陣となって
しまった。この影響を受けたのが救援投手陣で、救援投手の投球回数は前年から170回近く増加、ルーキーの渡辺が58回1/3、前年1回1/3しか投げていない橋本が49回1/3とフル回転、さらに一番負担が増したのが久保田。久保田の投球回数は2006年の50回から倍増を超える108回に達し、登板数もプロ野球史上最多の90試合に膨れ上がった。この救援陣の奮闘もあって勝率は前年からマイナス.063にとどめたものの、エースの流出が先発陣全体の地盤沈下を招いた例だといえるだろう。
表6
 そしてエースの穴以上に穴埋めできてしまった稀有なケースが2008年の広島である(表7)。2007年オフにドジャースへと移籍した黒田の後釜として新外国人のルイスを獲得すると、前年の黒田とほぼ同等の投球回数と、黒田を上回る勝率を記録し穴が見事に埋まった。さらにこのシーズンには2年目の前田健がデビューし、108回2/3を記録、先発試合の勝率はルイスを超える.647だった。この後前田健が球界を代表するエースにまで成長したこともあって、これが最もスムーズに大エースの穴を埋めきったケースとなった。
表7
そして今シーズン、広島はその前田健太が再びドジャースに流出するという事態に直面している(表8)。当然その穴は大きなものだが、一つ興味深い事実もある。表1で示したように昨シーズン前田が登板した試合の広島の勝率は今回のケースの中では最低の.517しかなかった。エースが投げた試合でこれだけしか勝てなかったことは昨シーズンの低迷の大きな要因であったが、逆に言えば今回の穴が、少なくとも「質」の面では田中や松坂のケースのような大きなものになっていないということでもある。前田が先発していた29試合を5割の勝率で乗り切れば勝率の面での悪影響はほとんど出ないのだ。田中の27試合を勝率5割で乗り切っても勝ち数が半減していたことになる2014年の楽天のケースと比較すれば、その穴の差がお分かりいただけるだろう。さらに今シーズンの広島の場合は、前年に2番手投手としては今回の7ケース中最多となる194回1/3を記録したジョンソンの存在も大きい。200イニングを超えた投手が抜けてなお200イニング近いイニングを計算できる投手がいるという状況はかなり恵まれたものでもある。
果たして今シーズンの広島は前回の黒田流出時と同じように危機を乗り切ることができるのか?大いに注目したいところだ。
表8