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広島かG大阪か データで見るゼロックス杯の展望

20日に行われるゼロックス スーパーカップをもって2016年シーズンのJリーグが開幕する。今回は同大会の展望についてまとめたい。

ゼロックス スーパーカップとは、前シーズンのJ1年間優勝チームと天皇杯王者が対戦する大会で、Jリーグ開幕の1週間前に行われる、その年度の最初の公式戦である(年間王者と天皇杯覇者が同一だった場合、2008年までは天皇杯準優勝チーム、現在はJ1年間準優勝チームが出場権を得る)。1994年に始まった大会で過去の結果は表1の通り。
表1 過去
通算成績はJリーグ王者の13勝、天皇杯覇者の9勝となっており、ここ最近は7年連続でJリーグ王者が勝利している。そして2016年は、広島(J) vs G大阪(天皇杯)という組み合わせとなっている。この両チームは過去にも同大会に出場した経験があり、それぞれ広島3勝0敗、G大阪2勝3敗という結果を残している。

そんな両チームの昨シーズン対戦成績は表2の通り。リーグ戦、チャンピオンシップ、天皇杯で戦い、2勝1分2敗と五分の成績。しかも、チャンピオンシップでは勝利した広島が年間王者に、天皇杯ではG大阪が広島を撃破した勢いそのままに天皇杯を制しており、「どちらが2015年最強チームか」という意味でも譲れない対戦となりそう。
表2-1 対戦
表2-2 対戦

真の2015年度王者を決める今回の対戦場所は、日産スタジアム。表3には、両チームの同スタジアムでの過去成績をまとめた。それによると、互いに14試合行っているが成績は決して芳しいものとは言えず、スタジアムに対する相性は互いに良くはないようだ。では、気象条件による影響はどうだろうか。20日は曇りのち雨の予報となっているが、表4の昨年度の同天候時の成績によると、両チームともに雨が降ると勝利の確率が低くなっている。どちらに有利とも言えない。
表3 スタジアム
表4 天気

環境面では五分といえる2チームの争いだが、試合状況別の成績ではどうだろうか。表5-1には先取点を取った時、前半をリードして終えた時の試合結果をまとめた。これによると、両条件で広島が高勝率をマークしているのだが、気になるデータも。
表5-1 状況

それは、昨シーズン広島の総得点(計73点)の大部分を占めたドウグラス(21点)が移籍によりチームにいないということ。ドウグラスが先取点を取った試合は8試合あり全勝(表5-2)。広島が誇る先取点を取った試合の高勝率を支えた立役者の移籍の影響がどう出るか。
表5-2 状況

さらに詳細なデータで見てみたい。時間帯別の得点数と失点数をまとめたものが表5-3で、得点数の「※」はドウグラスの挙げた得点を抜いたものとなっている。その集計によると、広島が多くの得点を挙げていた前半1~30分、後半46~60分の時間帯で影響が大きいことが見てとれる。しかも、その時間帯はG大阪の失点数が多い時間帯でもあるだけに、広島の得点力ダウンには予想以上の影響がありそうだ。
表5-3 状況

昨年の対戦成績や条件による勝率では五分の両チーム。失点数の少ないチーム同士の対戦だけに、勝負のカギはやはり得点力か。広島はドウグラスの穴をウタカ、宮吉ら補強陣が埋められるか、一方のG大阪は補強したアデミウソンがさらなる得点力アップに貢献できるか、シーズンを占う上でも楽しみな一戦となりそうだ。

打率3割、20本、10勝、20セーブ…達成が難しいのは?

キャンプインから2週間が経過したプロ野球、週末には早くもオープン戦が始まりいよいよ本格的に野球のシーズンが到来する。ファンにとってこの時期に最も気になるのは、期待の選手や贔屓の選手が今年はどのくらいの成績を残せるのか?ということ。そしてそういった話題で使われるのが「3割」や「10勝」といったいわゆる「キリの良い数字」だ。「打者は3割、投手は10勝で一流」といった言葉もあるように、3割や10勝、20本塁打のようなキリのいい数字はそこを超えることが「野球選手としての成功」を意味する面がある。そこで今回は野手の3割、20本塁打、20盗塁、投手の10勝、20セーブ、20ホールドポイントを達成することがどのくらい「難しい」ことなのかを調査した。

調査は2000年以降のドラフトで入団した選手を対象とし、どのくらいの選手がそれぞれの記録を達成しているのかを「達成率」として算出した。対象となった選手数は表1の通り。2000年以降のドラフトで入団した選手は育成選手も含めると投手が729人、野手が617人で、投手、野手ともこの人数が達成率の分母となっている。ではここからは達成率の高い、つまり達成がわりあい容易な記録から順に紹介していきたい。
表1

難易度:低 野手の3割、投手の20HP(ホールドポイント)

野手の3部門のなかでは打率3割、投手では20HPを達成した選手が最も多いという結果になった(表2)。達成率は3割が43人で7.0%、20HPが72人で9.9%となっている。HPは2005年に制定された新しい記録にも関わらず今回の6部門の中では最多の選手が達成している。これはセーブや勝利投手と違って1試合で複数の選手が記録することができるという点が大きいだろう。基準を30HPとすると達成者は14人、達成率は1.9%に激減するので25HP程度がほかの部門と同程度の難易度となるのかもしれない。
達成者数を入団したチーム別にみてみると3割打者を最も輩出しているのはヤクルトで6人、HPは中日と日本ハムの9人だった。ヤクルトは2000年指名の畠山を皮切りに、2002年の雄平、2003年の青木(現マリナーズ)、2004年の田中浩、2005年の川端、2010年の山田と定期的に主力野手となった野手が登場していて野手の輩出力という点では12球団屈指といえるだろう。HPでトップだった中日はなんといっても岩瀬の存在が大きい。この間10年以上にわたって不動のクローザーとして君臨していたため、クローザー級の実力を持った投手たちが次々とセットアッパーとして起用されHPを稼いできた結果が最多の9人という数字につながった。日本ハムは2001年からの9年間で指名した選手の中から8人も20HPの達成者が生まれた。毎年のように有能な中継ぎ投手を発掘するスカウト力には目を見張るものがある。逆に達成者が少なかったのが野手では中日とオリックス、投手は楽天、西武といったチーム。3割達成者が2人だけの中日とオリックスはともに他球団移籍後に3割を達成した鉄平(中日→楽天)と平野恵(オリックス→阪神)を含むため、自チームでの達成者は大島と後藤(現楽天)だけだ。
表2

難易度:中 野手の20盗塁、投手の10勝

3割や20HPより達成の難度が高いのは野手の20盗塁と投手の10勝。それぞれの達成者は20盗塁が39人(6.3%)、10勝が64人(8.8%)だった(表3)。最も一般的な「一流基準」ともいえる投手の10勝だが、それを達成できる選手は10人に1人以下、平均すると1チームあたり3年に1人が入団する程度の確率となっている。その中で最多の9人が10勝を達成しているのが中日だ。昨年も2012年に7位で指名した若松が早々と10勝を達成、ドラフト順7位の投手の10勝は2000年以降の本ドラフトで入団した投手の中では最も低い順位(2001年の近藤、2004年の東野は7巡目指名だが、この時期のドラフトでは指名権のない巡目が存在したため、球団内での指名順はともに6番目だった)でもある。ただ一方で中日は20盗塁の達成者がワーストの1人しかいない。20盗塁の達成も3割と同じ大島なので生え抜き野手の輩出という点では投手に比べて大きく見劣っている。10勝投手の誕生という点で遅れをとっているのがDeNAだ。今世紀指名した65人の投手のうち10勝を達成したのは井納ただ1人。長年の低迷の最も大きな原因となっていたことは間違いないだろう。
表3

難易度:高 野手の20本塁打、投手の20セーブ

今回設定した3部門の中で最も達成が難しいのは20本塁打と20セーブだ(表4)。パワーヒッターの証ともいえる20本塁打だが達成者は打率3割のほぼ半分となる22人だけ。達成率は3.6%なので30人に1人程度しか到達できないという計算になる。この高いハードルを越えた選手を最も輩出しているのが西武とヤクルトだ。打率3割でも好成績だったヤクルトはここでも4人が達成、そのすべてが3割とダブルでの達成者(畠山、青木、雄平、山田)だった。西武からは日本を代表するホームランバッターである中村のほかに、中島(現オリックス)、浅村、G・G佐藤といかにもスラッガーな選手が定期的に誕生していて、昨年17本塁打の森も順調であれば間もなくこの中に加わるだろう。強打者の輩出という面では12球団の中でも群を抜いている。
一方強打者が生まれないのが、楽天、広島、中日だ。楽天の場合はチームの結成が2005年なのでほかのチームより入団人数も少ないという事情もあるが、広島は今世紀すべてのドラフトに参加しながら20本塁打を達成した選手が誰もいないという惨状、中日も20本塁打を打ったのはソフトバンクに移籍後の田上なので、実質0人といってよい。セ・リーグでは阪神も20本塁打達成が鳥谷だけという状態で、リーグの半数のチームで「野球の花」であるホームランを打てる野手ほとんど生まれていないというのは、危機的状況ではないだろうか。
投手部門で最も難易度が高い20セーブ、これは「チームにはほぼ1人しかクローザーが存在しない」という事情が大きいだろう。5~6人の枠がある先発投手とは違って、クローザーは基本的に1チーム1枠だけ。チーム内のほかのすべての投手との競争に勝った投手のみが挑戦できるのが20セーブという風に考えると、この難易度にも頷けるのではないだろうか。ここでの最多輩出はオリックスと西武の4人だが、セーブ数はほかの部門と異なって達成者をたくさん輩出すればいいというものでもない。岩瀬や藤川といった絶対的なクローザーが長く存在したチームは達成の人数も少なくなるからだ。
表4
最後に選手個人として野手の3部門すべて達成した選手を紹介したい。それが表5である。昨シーズントリプルスリーを達成した柳田と山田は当然だが、そのほかには3人しかおらず達成者は計5人、達成率は0.8%なのでこのような成績を残せる選手は100人に1人以下ということになる。これを1年で達成してしまうトリプルスリーの難易度は相当なものだ。ちなみに現役では1999年以前に入団した松井稼(楽天)と井口(ロッテ)も3部門すべてを達成している。
一方投手として10勝、20セーブ、20HPを達成した者はいない。現役すべての選手を対象としても達成しているのは五十嵐(ソフトバンク)だけ。HPは2005年に制定された記録なので五十嵐はNPB史上唯一の達成者ということになる。2000年以降入団の選手で可能性がありそうなのは、20HPだけ未達成の岸田(オリックス)、寺原(ソフトバンク)や20セーブが未達成の浅尾(中日)といったところだろうか。とくに岸田は昨シーズンのHPが19と達成まであと一歩だった。もし達成していたならばその達成率は0.13%というものすごい数字となっているところだった。果たして今シーズンに達成することができるだろうか。
表5

Jリーガーには移籍がつきもの?

2月に入り、Jリーグから各チームの今季登録選手リストが発表された。そこには各選手の生年月日や身長体重、出身地などが記載されているのだが、今回はその中から「前所属チーム」の部分に焦点を当ててみたいと思う。

ここでいう「前所属チーム」とは、過去に所属したチームのことで、新人選手であれば所属していた「高校」「大学」、移籍選手であればそれまでに所属していた「チーム」が記載してある。それを「移籍経験選手」「生え抜き」「レンタルバック」「新人」と4つのカテゴリーに分け、球団別にどのような経歴を持った選手が多いのかをみていきたい。

各カテゴリーの説明は以下の通り。
・移籍経験選手:完全移籍を経験したことのある選手
・生え抜き:入団から現在まで同じチームに所属している選手
・レンタルバック:所属元が変わったことがなく、レンタル移籍のみ経験した選手(将来を見据えた育成目的の移籍)
・新人:高卒、大学卒、社会人などから新人で2016年に新入団した選手

■半数以上が完全移籍を経験

表1には、カテゴリーごとにJ1とJ2の違いをまとめた。リーグ全体でみた場合、58.4%もの選手が完全移籍を経験しているが、これについては、同じチームで現役生活を終えることの難しさよりも、サッカー独特の選手契約の存在が影響を与えているように思われる。サッカーはプロ野球とは違って選手生命が短く、短い契約期間が満了となった末に移籍先を求める状況や、好条件のオファーが舞い込み移籍する、というようなことが珍しくないだけに、このデータも納得がいく。
表1
また、リーグ間における相違点では、移籍経験有の選手がJ2に多い一方で、生え抜きやレンタルバックの選手はJ1に多くなっている。現在のリーグ間移籍の流れとして、J1経験豊富な選手がJ2へ完全移籍することや、育成目的で若手をJ1からJ2へ武者修行に出すことが多い点を考慮すると、移籍の構図を表したデータと言える。

■成績上位陣にみる真逆のチーム構成

続いてJ1。各チームのデータをまとめた表2-1、2-2をご覧いただきたい。
表2-1
表2-2

毎年のように広島から選手を補強していた浦和が完全移籍経験者の最も多いチームとなっており、その割合は77.8%。それに伴い、生え抜き選手数もリーグワーストとなっている。山田(湘南)矢島(岡山)阪野(愛媛)ら有望若手を数多くレンタル移籍させているものの、チームの主力となっているのは他チームから獲得した選手。彼らの牙城を崩せていない現状が数字として出ている。

その浦和と対照的なのが鹿島で、生え抜きが最も多い一方で、移籍経験者はリーグワースト。自前選手の率も54.9%(新人除く)と唯一半数を超えている。他にも柏や新潟、FC東京、G大阪、広島あたりが自前の選手を多く抱えているが、昨シーズンの順位を考えると浦和以外の上位陣は全て自前の選手が多いチームとなっている。育成こそがチームを強くする最善の方法であるのかもしれない。

■J1経験チームとそうでないチームの差

表3-1、3-2にはJ2のデータをまとめた。移籍経験者50%以下のチームがJ1で8チームあったのに対し、J2では50%以下は3チームだけ。さらに自前選手の割合も30%を切っているチームがJ1では1チームだったのに対し、15チームと、移籍で獲得した選手に頼らざるを得なくなっている。
表3-1
表3-2

特に、J1在籍経験のあるチーム(清水、C大阪、札幌、京都など)と、そうでないチーム間に差があるように感じられる。在籍していたチームは自前の選手比率がJ1に近い比率が確保できており、これがJ1を知るチームとそうでないチームの経験や資金力の差なのかもしれない。

ニューイヤーカップの順位次第で降格も?

2015年から始まった「スカパー! ニューイヤーカップ」が2016年も1月24日から開催される。参加チームは前回の7チームから12チームへ、そして開催地も宮崎、鹿児島に加えて新たに沖縄ラウンドが追加されるなど、昨年よりグレードアップしたニューイヤーカップ。今回は2016年大会の見どころや各チームの戦力を紹介するとともに、プレシーズンマッチだからといって侮ってはいけない気になる同大会のデータをご紹介したい。

まずは今大会の見どころから。表1には沖縄、宮崎、鹿児島で行われる各ラウンドの参加チームをまとめた。昨年参加した浦和、大分が参加を取りやめる一方で、FC東京、札幌、千葉など7チームが初参加となっている(表1赤文字)。
表1 16年 参加(1)

■沖縄ラウンド

今回から新設された沖縄ラウンドには、J1からJ3まで各カテゴリーのチームがエントリーする形となった。過去最高タイの年間4位で2015年シーズンを終えたFC東京の実力が抜けており、J2札幌、東京Vは最後までプレーオフ進出を争ったライバル、今季の戦いを考えればプレシーズンマッチとはいえ負けられない。琉球は監督選手が大幅に入れ替わる中、格上相手に今の実力をどれだけ試せるか注目だ。

FC東京:城福氏が6年ぶりに同チーム監督に復帰。太田、権田が移籍したものの、湘南から正GK秋元や元代表の駒野(磐田)、城福氏の教え子である阿部(甲府)や水沼(鳥栖)を獲得するなど、各ポジションで厚い選手層を誇る。

札幌:2シーズン目を迎える四方田体制。経験豊富な増川(神戸)、オランダのPSVにも所属経験のあるヘイス、マセードらを補強。昨年のベースをもとに戦力の上積みで2012年以来のJ1昇格を目指す。

東京V:若いチームに安定感を与えるべく清水の高木純、タイからは鹿島などで活躍した船山ら経験豊富なベテラン選手を補強、さらに昨季プレーオフ進出を逃した原因でもある得点力不足を補うべくブラジル人FWドウグラスも獲得した。

琉球:金鍾成監督のもと新たなスタートを切る2016年シーズン。昨季終了後に19名もの選手が退団。現在10名の新加入が発表されているが、うち7名が新卒選手とシーズンを戦う上では厳しい選手層。年々勝点を増やしているJ3生活も3年目を迎えるが、今季も厳しい戦いが予想される。

■宮崎ラウンド

このラウンド2年連続参加の鹿島、福岡に、鹿児島ラウンドから熊本、新たに千葉らJ2勢が加わった。ナビスコ杯を制した鹿島に対し、鉄壁の守備で今季J1昇格を果たした福岡の力がどこまで通用するのか。また大幅に選手が入れ替わり、昨年とは別のチームの印象が強い千葉、監督・コーチともに新体制で臨む熊本はチームの仕上がり具合が気になるところ。

鹿島:チーム得点王の金崎とは期限付き移籍の延長がかなわず、ダヴィとも契約満了。梅鉢、豊川ら若手有望株をレンタル移籍させるなど、得点力に不安が残る。補強もブエノ、三竿、永木ら中盤より後ろの選手が多く、少ないチャンスで如何に効率よく得点を挙げるかが今年の課題か。

福岡:昇格に貢献した選手の引き留めに成功。昨年のベースをもとにした守備陣に新戦力がうまく融合できるか。そしてその守備がJ1でどれだけ通用するか、得点力の強化が残留へのカギとなりそう。またオリンピック世代の金森、亀川、為田ら若手の成長も楽しみ。

千葉:24名が退団し、20名が新加入という異例な状態で、まさに一からのチーム作りとなる。昨年のレギュラーもほぼ抜けており、どんなチームになるのか関塚監督の手腕の見せどころでもある。近藤(柏)、阿部(甲府)、船山(川崎F)らを筆頭に新加入の選手は実績十分なだけに、戦術がはまれば一気の昇格もありえる。

熊本:小野前監督からヘッドコーチだった清川新監督へバトンタッチされ、コーチ陣も一新。さらに選手陣でもレギュラーだった養父や齋藤らが抜けるなど主力放出に陥ったものの、植田(岡山)佐藤(鹿島)村上(愛媛)ら経験豊かな選手を補強、さらに清武(鳥栖)のレンタル延長にも成功した。プレーオフ進出を目指して昨年以上の成績を目指す。

■鹿児島ラウンド

昨年に続き磐田、清水が参加。北九州と鹿児島Uが新規参加となった。このラウンドは今季新たな戦いに臨むチームが集まったといえる。J1参戦の磐田、J2降格となった清水、新スタジアムが2017年から使用開始となり、J1ライセンス獲得が可能となる北九州、J3参加の鹿児島Uなど、今年はやらなければならないチームばかり。各チームの意気込みが感じられるラウンドとなりそう。

磐田:駒野が移籍したものの、ジェイ、アダイウトンが残留し、中村(千葉)大井(新潟)を獲得、さらに新潟にレンタル移籍していた山本が復帰するなど3年ぶりのJ1復帰へ戦力は整った。得点力はあるだけに、守備力強化が残留へのカギとなりそう。

清水:チーム初のJ2での戦いとなる今シーズンに向け、昨年の主力慰留に成功。監督も昇格経験のある小林新監督を迎えるなど、J2仕様へシフトチェンジしつつある。とはいえ、J1とJ2は戦い方が全く別なだけに選手たちがそのギャップにいかに早く対応できるかが昇格への課題か。

北九州:念願のJ1仕様のスタジアムが2017年に完成する北九州。ライセンスが交付されれば、成績次第ではJ2卒業も可能なだけに選手、監督、チームの士気は上がっているはず。本山(鹿島)、池元(松本)、刀根(名古屋)ら地元出身の実力派選手も多く獲得し、昨年7位だった実力にプラスアルファができればプレーオフ進出は現実味を帯びてくる。

鹿児島U:初のJ3参戦。浅野体制2年目を迎える今年は、他チームと違い新卒の選手やJFLからの補強が目立つ。昨年のベースをもとにJ3での戦いにまず慣れることが今年の目標となりそうだが、1年でJ2へステップアップした山口のように何が起こるか分からないJ3だけに鹿児島旋風を巻き起こしてほしい。

■侮れないニューイヤーカップ

プレシーズンマッチであるニューイヤーカップだが、実は侮れないデータもある。表2、3をご覧いただきたい。こちらは昨年の同大会の各ラウンドでの成績表をまとめたものとなっている。中でも気になるのが、両ラウンドの最下位チーム。
表2 差し替え
表3 15年 成績(1)

宮崎ラウンドの大分、鹿児島ラウンドの清水は両チームともにリーグ戦で下部リーグへの降格が決まったチームである。ともに得点はある程度取れているものの、それを上回る失点数で勝点を奪えていない。これはシーズンに入っても同じで、最後までその体質が改善されずに降格を味わっている。

まだ1年間しか開催されていない大会ではあるが、シーズンを迎えるにあたって不吉なデータでがでているのも事実。2016シーズンはこのデータを覆す結果となるのか、その点も注目しながらニューイヤーカップ、シーズンを楽しんでみてはいかがでしょうか。

史上最も「新鮮」な監督が揃ったセ・リーグ

 今シーズンのセ・リーグは3チームで新監督が就任する。3人ともにこれまでにNPBでの監督経験がない「新人監督」だ。セ・リーグでは昨シーズンも2人の新人監督が就任していた。この結果、今シーズンがプロ野球史上稀にみる珍しいシーズンとなったことをご存じだろうか。今シーズンから指揮を執る高橋監督(巨人)金本監督(阪神)ラミレス監督(DeNA)は当然監督就任1年目、ヤクルトの真中監督と広島の緒方監督は2年目、リーグで最も長いキャリアの監督となった谷繁監督もまだ就任3年目で、同一リーグ内の全監督がキャリア3年目以内となったのだ。1936年に今のNPBの前身である日本野球連盟が発足して以降、監督としてのキャリアが4年を超える監督が1人もいなかったシーズンは、プロ野球発足後の3年間を除くと2度しかなかった(表1)。1度目は1リーグ時代の1944年。今シーズンと同じく3人が新人監督で、残りの3人も阪急の西村監督が2年目、産業(中日の前身)の三宅監督と阪神の若林監督が3年目だった。そして2度目は記憶にもまだ新しい2006年のセ・リーグ。このシーズンは中日の落合監督と阪神の岡田監督が3年目、巨人の監督に復帰した原監督が通算3年目、横浜の牛島監督が2年目、新人監督はヤクルトの古田監督と広島のブラウン監督だった。今シーズンはこれに続く3度目の「キャリア4年以上の監督不在のシーズン」となるのだが、1944年と2006年には3年目の監督が複数いたことを考えると、3年目の監督が1人だけという今シーズンは過去最も「新鮮」な監督の揃ったシーズンいえるだろう。ちなみに1944年、2006年ともにリーグを制したのは3年目の監督(1944年は阪神・若林監督、2006年は中日・落合監督)だった。
表1
 また今シーズンは巨人と阪神というリーグを代表する2チームがともに新人監督を就任させた。巨人と阪神が同時に新人監督を就任させたシーズンはこれも過去に2度しかない(表2)。2004年は巨人に堀内監督、阪神には岡田監督が就任した。もう1度は1975年で、このシーズンは巨人が長嶋、阪神が吉田という球団を代表する名選手が初めて監督になった記念すべきシーズンだ。ただこの2シーズンは巨人、阪神ともに優勝を逃している。1975年は広島が悲願の初優勝、2004年は中日が優勝を果たしているが果たして今シーズンはどうなるだろうか。
表2

 巨人と阪神という歴史ある人気チームの監督に就任した高橋監督と金本監督だが、過去の両チームの新人監督の成績を見てみるとその結果には随分と差がある(表3-1、3-2)。巨人の新人監督はプロ野球初年度の藤本定義監督を除くと過去10人、そのうち3人が1年目で優勝を果たしている。また1年目に優勝を逃した7人のうち3人は2年目で優勝しており、就任から2年以内で優勝できなかった監督は王監督と堀内監督だけだった。一方阪神の過去17人の新人監督のうち1年目に優勝したのは1937年の秋リーグを制した石本監督のみ。2年目に優勝したのも2005年の岡田監督しかいない。逆に2年目終了を待たずに退任した監督は5人もいるのである。ほとんどの新人監督が結果を出している巨人の監督になった高橋監督と、新人監督が苦しみ続けてきた阪神で監督のキャリアをスタートさせる金本監督。まずはその初年度の結果に注目したい。
表3

 そして今シーズンもう1人の新人監督がDeNAのラミレス監督だ。MLBではメジャーまで昇格し、NPBでは2000本安打を達成するほどの実績を残し引退した。引退後はBCリーグの群馬やオリックスでシニアディレクターなどを務めていたが、NPBでの指導者経験はない。このように日米で選手としてのキャリアを持ち、NPBでの指導経験はないという元選手が監督に就任するというパターンは、実はプロ野球史上初めてのことである。表4は過去の外国人監督の経歴を一覧にまとめたもの。これをみると分かるように過去の外国人監督は、米国でプレーし引退、米国で指導者として実績を残してから日本に監督やコーチとして来日するというパターンが一番多かった(ルーツ、コリンズ、ヒルマン、バレンタイン)。また日米でプレーした選手が、引退後に米国やNPBで指導者としての実績を積み日本で監督になるというパターン(ブラウン、ブレイザー、与那嶺)もあったが、米国でもNPBでも指導者経験のないラミレス監督はこれにもあてはまらない。ラミレス監督同様に指導者経験なしで監督に就任した外国人監督は過去に1人、1958年に阪神の監督に就任した日系2世の田中義雄監督だけだ。ただ田中監督の場合、米国でのプロ経験は0でNPBだけで活動した野球選手だった。米国の野球も経験したラミレス監督はこのケースとも異なっている。このように過去に例のないキャリアで監督となったのがラミレス監督なのだ。プロ野球史上初の経歴を持つラミレス監督がどのような結果を残すのか、今後日本球界が広く指導者を集めるきっかけにもなる可能性を秘めているチャレンジである。
表4

 3年目を迎えた中日の谷繁監督は昨シーズンまでで選手としては引退、今シーズンは監督専任1年目のシーズンとなる。采配に集中することで前年よりよい結果が期待できそうな気もするが、過去の例をみるとそうとも言えない結果が残っていた。表5は選手として引退後も専任監督としてチームに残った監督の専任1年目の成績だ。意外なことに前年より順位を上げたのは8人中1人だけ。優勝したのも前年も優勝していた南海の鶴岡監督だけだった。同じような順位に終わることが多い傾向が出ていて、「専任効果」というのはそれほど感じられない。ただ過去の兼任監督が実質的に引退状態であったのに対して、谷繁監督の場合は昨シーズンも選手としての実力も一軍の戦力に計算できるレベルにあって、選手の役割にかける比重も過去の監督よりは大きかったことが想像できる。つまり今シーズンから監督業に集中できる効果は、過去の誰よりも大きい可能性があるとはいえないだろうか。そもそも兼任監督が専任として監督を続けるのは実に58年ぶりの貴重なケース。専任1年目で結果は変わるのか?これも今シーズンも大きなみどころとなるだろう。
表5

 1年目で優勝という最高の結果を出したヤクルトの真中監督は2つの不吉なデータと対峙するシーズンとなる。表6は真中監督同様に1年目でリーグ優勝を果たした監督の2年目の成績をまとめたものだ。その結果は芳しいものではなく、2年目も優勝を手にした監督は西武の森監督だけしかいない。近年では2013年の栗山監督(日本ハム)や、2009年の渡辺監督(西武)のようにBクラスに転落するケースもあり、まさに「2年目のジンクス」といった結果が出ている。
 そしてもう1つの難題が表7。これはセ・リーグの優勝チームの翌年の結果を集計したものである。巨人が20度の連続優勝という圧倒的な結果を残しているのに対して、そのほかのチームは最高でも一度しか連覇を果たしていない。とくにヤクルトはBクラスに終わったシーズンが最多の4度もあるなど優勝翌年の落ち込みが目立っているのだ。2年目を迎える真中監督はこの2つの「2年目のジンクス」を乗り越えられるだろうか。
表6-7

 そして2年目を迎えるもう1人の監督が広島の緒方監督だ。昨シーズンは黒田の復帰という最高の追い風が吹きながら、前年を下回る4位に終ってしまった。広島が過去新監督を迎えた15度のシーズンで、前年の順位を下回る結果に終わったのは2度しかなかった(表8)。緒方監督の前に順位を下げた例は1963年の白石新監督まで遡るのである。過去から見ても満足とはいえない1年目だった緒方監督だが、2年目となる今シーズンも4位以下に終わり、2年連続で就任前のシーズンの順位を上回れないとなると、その例も過去に3度しかない。1度目は1961年に就任した門前監督で、就任から2年連続で5位に終わり3年目のシーズンを迎えることはできなかった。2度目は1999年に就任した達川監督でこちらも2年連続の5位で就任前年の5位を上回れず退任。3度目は2010年に就任した野村監督で達川監督同様に2年連続5位に終わったが、こちらはその後も3年間監督を続けた。いずれにしても2年連続で順位を上げられないとなるとチーム史上でもまれな失敗例となってしまうことは間違いない。緒方監督にとっては勝負の2年目となるだろう。
表8