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データでみるJリーグ 2ステージ制の行方

2004年シーズン以来11年ぶりとなる2ステージ制に制度を変更したJリーグ。ステージごとに王者が決まる今シーズンは、開幕から浦和、広島、鳥栖が2連勝を飾り1stステージ優勝へ向け幸先の良いスタートを切りました。今回は、J1リーグの制度変更の変遷を振り返るとともに、2ステージ制時代の過去データから今季の行方を占ってみたいと思います。

■J1リーグの制度変更について

まずはJ1リーグの制度変更について。表1にはその変遷をまとめました。93年に10チームで開幕したJリーグは、2ステージ制を採用し、ステージごとにホーム&アウェーを実施。さらに90分を戦って同点の場合は延長戦(Vゴール)、それでも決着がつかなかった場合はPK戦を行う完全決着方式を採用していました。そして順位においても、現在の「勝ち点制」ではなく、「勝利数」(95年から)で決定するなど、J開幕当初のファンにとって「分かりやすい」をモットーとした制度は、今とはずいぶん異なったものでした。

表1

表1

その後、96年に1度は「通年制」に変更されたものの、翌年再び「2ステージ制」に変更。その際、チーム数の増加とともに増え続けた試合数(最大で95年の52試合)も考慮して、ステージごとにホーム&アウェーだったものを各ステージ1回戦総当たりに変更(年間でホーム&アウェー2回戦総当たり)、試合数が半分に減少されました。しかも97年は参加チーム数が奇数の「17」になるなど、リーグの迷走ぶりがうかがえます。

99年からは16チームによる2ステージ制(各ステージ1回戦総当たり)が定着。PK戦、Vゴール、そして延長戦の廃止などを経て、国際サッカーの基準である「通年制」に合わせるというJリーグの意向で05年からは再び「通年制」へ移行。

そして今年15年シーズンからは、モデルチェンジを施した「2ステージ制」が満を持して3度目の登板となったわけです。スポンサー収入の増加やファン拡大などが目的に挙げられる今回の2ステージ制。これまでとの相違は、ステージ覇者同士のチャンピオンシップから年間勝ち点1~3位までを加えた5チームでのプレーオフを実施する点です。次項では、ステージ制に変更となった今シーズンの行方を、過去データをもとに分析してみたいと思います。

■ステージ覇者の平均勝ち点は

表2には過去2ステージ制だった時の1st、2stそれぞれ勝ち点上位3傑をまとめました(赤字は両ステージ登場チーム)。

表2-1

表2-1

表2-2

表2-2

参加チーム数によって獲得勝ち点も変わってきますが、今年と同じ18チームだった98年では、1st磐田39点、2st鹿島42点でステージ覇者には平均40点ほどが必要な計算になります。また、各ステージ1回戦総当たりとなった97年以降、04年までの覇者勝ち点平均では38.7点(1st=38.5、2st=38.9、18チーム換算)が優勝に必要。ただし、表1にもあるように延長勝ち(勝点2)が無くなったのが03年からで、03、04年の平均が36.8点となり、それを考慮しても37点以上が優勝ラインと言えそうです。

また、表から分かる特徴としてはステージ覇者となったチームには、どちらかのステージで3位以内に入ったチームが多い(8/11回)。そして意外にも両ステージで3位以内に入っていたチームはステージ覇者以外にほとんど存在しないのです(93、95、03年の3回のみ)。

■通年制の前半戦と後半戦の成績は

一方、通年制のため参考記録ですが14年から過去5年分のデータを表3にまとめました。対戦カードが1周する17節終了時点までを前半戦、それ以降を後半戦とみなして順位を計算。前後半の平均勝ち点では、35.8点(前半=35.4、後半=36.2)とステージ制に比べやや劣る傾向が出ています。

表3-1

表3-1

表3-2

表3-2

表3-3

表3-3

表3-4

表3-4

表3-5

表3-5

通年制で見られる特徴としては、ステージ制同様に前後半ともに3位以内に入っているチームが4チームと少なく、1位のチームですら3位以内に入ることは稀だったようです。1年間というスパンでシーズンを見通した結果、前半・後半と万遍なく成績を残しているチームが少ないように見受けられます。

さらに、J2降格を免れようと巻き返すチームも多く、前半戦2桁順位で終えたチームや7位以下のチームが後半戦に巻き返しているケースがステージ制と比較しても多々あり、通年制ならではの傾向となっています。

■条件に当たるチームは?

以上より、36点から37点が優勝ラインと予想され、引き分けを考慮しても11勝以上は必須となりそう。そのためにもホームでの白星が重要となるわけですが、過去5年のホーム成績上位5傑では柏、広島、浦和などがホームアドバンテージを生かした戦いをしており、スタートダッシュに成功した浦和、広島には高いステージ優勝の可能性があると言えそうです。

以前のステージ制の傾向からも分かるように、ステージを制する上で必要なのは両ステージで結果を残すこと。そして通年時のように調子の良い時に勝ち点を積み上げられれば、という考え方を捨て、早い段階から調子を上げて勝ち点を積み重ねることが通年制と違う優勝への近道となりそうです。

【プロ野球】2015シーズンの日程を読む

開幕まで3週間を切ったプロ野球。当然各チームの日程も1試合(ヤクルト-中日)を除きすべて発表されている。この日程を詳しく見ていくと、様々な事実がみえてきた。本拠地での連戦の数、年間の移動距離、遠征の過酷さなどから明らかになった日程上の有利、不利をチームごとに紹介していきたい。(表1は主なポイント)

表1

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■日程の有利なのは中日、阪神、西武、ロッテ

今シーズン最も恵まれた日程で試合を消化するのは中日だ。総移動距離(表2、表3)こそ阪神を上回っているものの、そのほかの点で非常に恵まれた日程となっている。最も特徴的な点は2カード続けてのホーム開催が12球団最多の9回もあることだ。とくに5月後半には4カード(11試合)連続でホームゲームが組まれていてこれも12球団で最長だ。約半月の間地元で腰を落ち着けられるのは非常に大きいといえるだろう。また、後半戦の日程にも有利な点があり、夏真っ盛りの7月28日からはなんと20試合連続でドーム球場での試合が組まれている。ベテランの多い中日にとっては特にありがたい日程だ。さらに8月後半の遠征も神宮、横浜、東京ドームと関東圏のみとなっており、9月も広島、甲子園、横浜へそれぞれ一度ずつ移動する以外はすべてナゴヤドームでの試合だ。一方で5月上旬の長期遠征(甲子園→秋田→平塚→横浜)を除けば厳しい期間もなく全体として非常に無理のない日程となっている。

表2

表2

表3

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次に名前が挙がるのが阪神。総移動距離は12球団で最短であり、1回の移動距離でも広島から横浜への約790キロが最長と12球団で最短だ。東北、北海道、四国、山陰での試合もなく九州の試合もヤフオクドームでの3連戦のみだ。また9月の日程が今シーズンは恵まれた。とくに1日から21日の間ではホーム11試合に対してビジターは5試合のみ。例年失速するといわれる9月にホームゲームが多く組まれた点は大きいのではないだろうか。

パ・リーグでは関東に本拠地を置く西武とロッテが比較的有利な日程になっている。西武は4月5月に関東での連戦が多く、6月は移動距離が少ない。開幕4カード目の日本ハム戦がビジターながら東京ドームで行われるため、3日からの2週間を地元で過ごすことができる。さらに5月下旬にも交流戦の巨人戦が郡山での1試合を除いて東京ドームで行われるため19日からの2週間もほぼ地元での試合となる。また4月下旬からの1か月で3カード連続ビジターの試合が2回あるものの、ともにQVCマリン(千葉)での試合が含まれており長期に地元を離れる形にはなっていない。勝負どころの9月もホーム13試合に対してビジターは7試合とラストスパートがかけやすい形になっている。

ロッテは6月にホームの試合が集中した。交流戦最後の2カードをQVCマリンで行い、再開するリーグ戦の最初の楽天戦もQVC。一度旭川遠征があるものの2日の休みを挟んで5試合がQVCマリンで行われる。8日以降の25日間でビジターは2試合という日程は非常に恵まれたものだ。その後にオールスターを挟んでの遠征(大阪→オールスター→北九州→福岡→仙台)があるものの多くの選手がオールスター期間に休めることを考えるとさほど厳しいといえない。ほかに長期の遠征もなく9月の移動距離はパ・リーグ6球団で最短。他の4チームと比較すると有利な日程といえるだろう。

■厳しい日程の日本ハム 広島、ソフトバンクもなかなかハード

12球団で最も厳しい日程なのが日本ハムだ。移動距離が最長な上に長期の遠征も多くなっている。まず開幕2カード目から千葉→大阪→東京(東京ドームでのホームゲーム)→鹿児島→熊本で10試合の遠征が組まれ、6月から7月にかけては福岡→旭川(ホームゲーム)→所沢→函館→札幌→東京(東京ドームで対楽天1試合)→仙台→千葉という19日間がある。ホームでの試合もあるものの函館、旭川は札幌からの距離もあり移動を続ける毎日になる。8月にも所沢→仙台→千葉→東京(東京ドームでのホームゲーム)という2週間の遠征、9月には札幌から所沢に移動して1試合を行い、翌日札幌で試合という4日間もあり日程のハードさは群を抜いている。本拠地の立地が大きな原因ではあるが、札幌から遠く離れた球場でのホームゲームが多いことも遠征が増える要因だろう。2カード連続での本拠地での試合は12球団最小の4回ととにかく長期に地元で試合をすることがないのが特徴だ。また、9月の月間移動距離は推定で約12,000キロ。これは阪神の年間移動距離の約3分の2に相当する数字だ。

ソフトバンクも移動距離では日本ハムに匹敵、とくに9月の日程は厳しい。9月8日の旭川での試合以降は札幌→仙台→大阪とビジターゲームが続き、地元で3試合行った後に再び札幌→千葉→福岡という日本を2往復する日程だ。月間に2度札幌遠征を組まれているのはソフトバンクだけであり、それが大詰めの9月というのは実に不運だ。ただ地元での5連戦、6連戦が多くその点は日本ハムより恵まれた。

セ・リーグで最も厳しい日程なのは広島だろう。昨シーズンは4月にマツダスタジアムでの6連戦が2回という日程も追い風となり開幕ダッシュに成功したが、今年の4月は厳しい。開幕カードこそ地元で行うもののその後は4月下旬まで落ち着かない日程となった。長期の遠征こそないが松山でのヤクルト2連戦、前橋(上毛敷島球場)、宇都宮での巨人2連戦と地方球場でのビジターの試合が多くなっている。とくに前橋、宇都宮は昨シーズンの9月に巨人に3連敗しV逸の原因となった地だけによい印象はないだろう。また、8月から9月にかけてはセ・リーグで唯一ビジター9連戦が組まれ、9月にマツダスタジアムでの3連戦は1度だけという日程となった。優勝候補にも名前が挙がるところまで期待の高まったシーズンだが少なくとも日程は追い風にならなさそうだ。

■そのほかのチームの日程は?

セ・リーグの関東3球団は移動距離的にも大差はない。巨人は4月(横浜→甲子園→前橋→宇都宮)と9月(富山→金沢→横浜→甲子園)に遠征が多い点が気になるが、逆に8月上旬に福島での1試合を除いて東京(東京ドーム&神宮)での試合が続く。ヤクルトは神宮での連戦こそ少ないものの、東京ドーム→神宮、神宮→東京ドームの連戦が多く地元に落ち着く回数は中日に匹敵する。DeNAは長期の遠征がほとんどなく甲子園→那覇の連戦が目立つ程度、3、4月に横浜、東京での試合が多く4月の月間移動距離は12球団最小。昨年は広島、甲子園、九州への遠征もあり開幕から失速したが地元に張り付く今年はどうだろうか。

パ・リーグの楽天とオリックスは可もなく不可もなくといった印象。オリックスは交流戦の試合が横浜の3試合を除くとすべてドーム球場、雨の多い時期だが順調に試合を消化できそうだ。日程的に厳しいのは6月下旬の長期遠征(郡山→山形→千葉→函館→札幌)と8月末からの移動だろう。8月最後の千葉から仙台→神戸→所沢→千葉→札幌→大阪→仙台→所沢といったりきたりの日程が続いている。楽天はいまのところシーズン最後の8試合がすべてビジターで予定されている。優勝やAクラスを最後まで争うことになった場合には気になる要素だ。

【自腹リポート】 5980円+税+ポイント10%で 「デジアナ変換」やってみた

2011年7月24日正午、東日本大震災で大きな被害を受けた福島県、宮城県、岩手県を除く日本の44都道府県で地上波のアナログテレビ放送が終了し、デジタル放送に完全移行しました。いわゆる「地デジ化(地上デジタルテレビ放送に完全移行)問題」ですね。延期となっていた被災3県でも12年3月31日にアナログ放送は終了。ブラウン管テレビを液晶やらプラズマやらの薄いテレビに買い換えて、家のアンテナをデジタル放送用に変えた方も多いでしょう。あれからもう3年がたちました…。“地デジカ”ってキャンペーンキャラクターもいましたけど、どんなでしたっけ? それほど昔話な「地デジ化問題」ですが、いまだにこの問題を考えている人々がこの日本に存在しているのです。
それが「デジアナ変換問題」です。初耳の方も多いと思われますので、まず解説から。総務省の要請で、11年7月24日以降もケーブルテレビの加入者は「デジアナ変換」によって、15年3月までアナログテレビで視聴ができることになっています。つまり「デジアナ変換」とは、ケーブルテレビ局が「デジタル」を「アナログ」に「変換」して契約者に届けるサービスです。筆者の実家も地元ケーブルテレビと契約しているので、いまだにブラウン管テレビで見ることができます。ただし、そのサービスも終了間近。3年前同様、画面の上下に「そろそろ終わるから準備してね~」という字幕が出ています…。これは何とかせねば! ということで、急きょ帰省し、その対策をしてきたのでリポートさせていただきます。

この字幕が出ているテレビは何らかの対策が必要です!

①この字幕が出ているテレビは何らかの対策が必要です!

まず、引き続きケーブルテレビに加入した状態で「デジアナ変換」終了後もテレビを見ることができる方法は3つあります。
(1)テレビをデジタルテレビに買い換える
(2)ケーブルテレビ局からデジタルチューナー内蔵のセットトップボックスをレンタルする
(3)デジタルデジチューナーを買う
この中からわが家が選択したのは③です。理由は2つ。「ブラウン管テレビがまだ映るから、買い換えはもったいない」と「地デジチューナーを買うのが一番、安上がりだから」。①はまあ論外として、②の毎月のレンタル代負担と比較すると、やっぱり③がベストということになりました。
というわけで、やって来たのは東京・有楽町駅前のビックカメラ。事前に秋葉原のヨドバシカメラにも訪れて比較し、価格差がないことが分かっているので、実家への帰り道にあるビックカメラで「デジタルデジチューナー」を買うことにしました。

「捨てずに使おう!」というコピーが素晴らしいAVERM「AVTA285」

②「捨てずに使おう!」というコピーが素晴らしいAVerMedia「AVT-A285」

機種はAVerMedia「AVT-A285」。価格は5980円+税+10%ポイント還元です。この機種にした理由は簡単。これしかないから。ヨドバシには同一機種ともう1種類ありましたが、私が訪れた時は入荷予定となっていたので、いずれにせよ“これしかないから”ですね。「地デジ化問題」の時分は多種多様な機種が近所のスーパーでも売っていた「デジタルチューナー」ですが、親切な店員さんの説明によると「もう皆さん、テレビを買い換えてますよ~」とのこと…。なんか、わが家が貧乏みたいでシャクですが、だってブラウン管テレビがまだ映るんだからもったいないじゃんよ! 残念ながらビックカメラには1機種でしたが、ネットショッピングではまだ、さまざまな機種を売っています(これも店員さん情報)。「デジタルチューナー」をお探しの方は選択肢が多いネットがおすすめですが、私は現物を見ないと信用できないたちなので、AVerMedia「AVT-A285」に懸けてみることにしました。

約10センチ四方の軽い箱ですが…

③約10センチ四方の軽い箱ですが…

さて、ここからが実践編です。実家のブラウン管テレビのスイッチをONにすると、「地デジ化問題」の時にも“ウザい”と話題になった字幕が画面上下に出ています(写真①)。果たして、AVerMedia「AVT-A285」(写真②)にこの字幕を消すことができるのでしょうか? 箱から出すと約10センチ四方の軽~いプラスチックの箱が出てきます(写真③)。なんか頼りない…。でも、B-CASカード、同軸ケーブル、ACアダプタと接続に必要なものはちゃんと同封されています。ここはAVerMedia「AVT-A285」を信じるしかありません。

上からACアダプタ、B-CASカード、同軸ケーブルのOUT(テレビへ)、同軸ケーブルのIN(ケーブルテレビから)。ネットで見たところ、黄赤白のケーブルでテレビに接続する機種もありました

④上からACアダプター、B-CASカード、同軸ケーブルのOUT(テレビへ)、同軸ケーブルのIN(ケーブルテレビから)。ネットで見たところ、黄赤白のケーブルでテレビに接続する機種もありました

チャンネルを1に合わせると初期画面が…成功です!

⑤チャンネルを1に合わせると初期画面が…成功です!

では、セッティングに入りましょう。テレビに接続されている同軸ケーブルを抜いて、AVerMedia「AVT-A285」の裏面(写真④)一番下に差します。そして同封の同軸ケーブルをその上に差して、テレビにIN。B-CASカードを差し込み、ACアダプターをコンセントに入れて、テレビのチャンネルを1に合わせると地域指定の初期画面(写真⑤)が出ます。あとは指示に従ってチャンネル設定などを済ませると、ついに“ウザい”字幕が消えました(写真⑥)。簡単、そして大成功! 5980円+税+10%ポイント還元でも期待を裏切らなかったAVerMedia「AVT-A285」。コストパフォーマンスはかなりいいのでは?

字幕も消えました!

⑥字幕も消えました!

これで、リポートは終了ですが、参考になりましたでしょうか? 「よくわからん」という方はぜひ、http://www.dpa.or.jp/digital/(デジタル放送推進協会)を閲覧にしてみてください。わが家の地域の「デジアナ変換」は3月20日で終了しますが、4月までOKな地域、既に終了している地域などさまざまです。「デジアナ変換」終了日時についてはご契約されているケーブルテレビ局にご確認ください。

ラテとぴ(本文用)

ストライク率から見た制球力とは

今回のテーマは「制球力」。意図した場所に投げられることは誰にでもできる業ではないですが、投手において意図的にストライクを取れることほど自身を助ける武器はないのではないでしょうか。全投球数のうちストライクが何球あったかを示す「ストライク率」や「ボール球」が締める割合などをもとに投手の制球力についてみていきたいと思います。
※各表では、2014年に先発した投手の中から20試合以上登板の選手を基準にベスト5を選定しました。

まずは、表1「ストライク率」。こちらは先述しました通り、全投球数におけるストライクの割合で、ファウルや見逃し、空振りなどのストライクとなったものすべてを含んだ数値です。昨年の各リーグ平均ストライク率はセ・リーグ(64.1%)、パ・リーグ(63.5%)となっております。

表1 ストライク率

表1 ストライク率

ストライクの数では、当然のように両リーグ奪三振王がランクイン。セのメッセンジャー、パの則本がそれぞれリーグ唯一の2000ストライク超えでトップとなっています。ストライクを稼ぐ点では、この2人が制球力に優れているというデータが出ております。そのストライクの内訳を各表とともに見てみたいと思います。

各表の内容は以下の通りです。
表2:空振りで獲得したストライク
表3:見逃しで獲得したストライク
表4:ファウルで獲得したストライク
表5:ボールとなった数

表2 空振りS獲得数

表2 空振りS獲得数

表3 見逃しストライク数

表3 見逃しストライク数

表4 ファウル数

表4 ファウル数

表5 ボール供給数

表5 ボール供給数

表6 最短

表6 最短

則本は、空振り、ファウルでともに首位、見逃しストライクにおいても2位となるなど、球威、制球力の両面でストライクが取れていることが推測されます。それを証明するように、空振りで獲得したストライクの数で他を圧倒。倍近くの空振りストライク率を誇っており、少々コースが甘くなっても力で空振りを取れるピッチャーであることが示された形となっております。ちなみにパの平均は9.5%なので、その数値がいかに優れたモノかがうかがえ知れます。四死球数も少なく、空振りでも見逃しでもストライクを取れるこの奪三振王は、パを代表する制球力と球威を併せ持った投手と言えるのではないでしょうか。

次にメッセンジャーですが、空振り、見逃し、ファウルのすべてで1位を獲得している半面、ボール供給数でもトップとなっています。全投球数に占めるボール率こそセ平均値(35.9%)を下回っていますが、1試合平均ボール数では同僚の藤浪に続くセ2位となるなど、ストライクも多いがボール球も多い投手と言えそうです。実際77四死球という数字が示すように、決して制球力が優れた投手とは言えないものの、その持ち味であるバラツキの産物が多くの奪三振となっているようです。それは、奪った226三振に占める見逃し三振の割合が約24%で、120奪三振以上の投手の平均が20%ということを考慮すると、良くも悪くも制球力のバラツキが生んだ奪三振数とも言えそうです。

意外なところでは、メッセンジャーと並んでセ最多勝に輝いた山井はストライク率セ最下位という結果に終わっています。そんな山井ですが、実はメッセンジャーと似たタイプの投手であることがデータから予想できます。それは「ボール率の高い投手」と「見逃しストライク数の多い投手」の間には共通する投手が多く登場します。その関係性から予測されるのは、メッセンジャー、山井、久保らがボール球の多さから見逃しストライク数を稼げているということ。そんなメッセンジャーと山井の違いはストライクゾーンで勝負するか否かの違いではないでしょうか。ストライクも取れる制球力を持つメッセンジャーとその周辺で勝負する山井。微妙な制球力の差が2人の勝負所に違いを生んでいるようです。まさに制球力と投球術、2タイプの最多勝投手が生まれた昨シーズンだったのではないでしょうか。

金子、メッセンジャー、則本らのストライク率の高さを見てみても、制球力に関する数値が高いほどゲームが作れ、勝利に近づく確率が高まることは間違いないことが証明されているわけですが、それだけが勝利の要因ではないこともわかりました。山井のようにいかに相手を打ち取るか、そのためには制球力があることや、ボール球をどう利用するかも大事だということです。

最後に、良くも悪くも制球力が影響した例として、昨年度先発したセ・パ両リーグの投手において最短投球数で降板した投手のワースト10傑を表6にまとめました。最短は一瞬の制球力に欠いた「危険球」での降板となった山口の5球。そして、危険球や負傷を除いたノックアウトでの最短降板は、井川の19球が最短となっているようです。

【プロ野球】眼のいい打者は誰だ?選球眼を考える

一般に「選球眼」と呼ばれている能力がある。単純にストライクとボールを正しく判断する力とすることもあれば、打つべきボール、見送るべきボールを判断する力とすることもある。いずれにしても「選球眼」のよいと言われる打者は、近年重要性が広く認識されだした出塁率の高い打者であることが多い。今回はこの「選球眼」を、「ボールカウントを有利にコントロールし、うまくいけばヒットやホームラン、うまくいかなくてもフォアボールで出塁する力」としてとらえ、各打者の打席ごとのボールカウントの傾向から、優秀な「選球眼」を持つ打者を探していきたい。

選球眼を考えるにあたって、まずはボールカウント別の打撃結果の傾向をみていきたい。表1は昨シーズンの全打席での結果をカウント別にまとめたものである。カウントによって明らかに打者有利、投手有利の傾向がでているのがお分かりいただけるだろう。打者が有利なカウントはボール先行(1-0、2-0、2-1、3-0、3-1)のカウント、投手が有利なのは2ストライク後(0-2、1-2、2-2)である。ボール先行時の打者の打率はおおむね3割5分を超えている一方、2ストライク後では2割にも満たない。ボール先行のカウントを作れば出塁の可能性は飛躍的に高まるのである。
もう一つ特徴的なのはホームランの比率。昨シーズンNPBの試合での総ホームラン数は1361本、そのうちの約20%にあたる260本は初球をとらえたものであり、2球目までだと558本とその割合は約40%まで上昇する。全打席に対する2球目までのカウントの打席の割合は約28%なので初球、2球目を打った場合のホームランの出やすさは明らかである。狙ったボールであれば早めの勝負をしていく姿勢も「よい選球眼」のためには必要だといえる。
そして2ストライク後で唯一打率が2割を超えるのが3-2のカウント。このカウントでは打者の打率が.224まで回復するうえ、フォアボールを加えると約46%の打席で打者が出塁に成功している。2ストライクをとられた後でも3-2まで持ち込めばアウトになる確率は格段に低下するのだ。2-2での打率は.198しかないので、2-2からボールを選ぶと出塁の可能性は2倍以上になる。3-2に持ち込む力は打者の成績向上に大きな要素といえるだろう。

この傾向からみえてくる理想の打者像は次のようなものだ。
・初球、2球目は狙ったボールだけを思い切りよくとらえにいく
・2球目までに仕留められなかった場合はボール球を見極め、ボールを先行させる
・2ストライクを取られてしまったら何とか3-2に持ち込んでいく
この条件に一致する打者はいるのか?ここからはカウント別の打席割合(表2)で特徴的な数字を残している打者を紹介していきたい。

表1

表1

表2

表2

■マートン(阪神) 昨年の成績:打率.338 14本塁打 46四球64三振 出塁率.394

初球の割合は50打席以上の選手で最も多い24%、これはプロ野球平均(12%)の2倍という際立った数値になっている。2球目までを含めると41%と勝負の早さが目立つが結果も良好。2球目(0-0、1-0、0-1)までを打った時の成績は打率.426でホームランは9本と圧倒的だ。さらにマートンの本当のすごさはフルカウントの打席数だ。これだけ早めの勝負で結果を残しながら、フルカウントの打席割合もプロ野球平均とほぼ同じ12%。早めのカウントで狙いが外れた場合はフルカウントまで持ち込む、という粘りを持ち合わせており理想的な打者の1人だ。

■吉村(ソフトバンク) 昨年の成績:打率.296 5本塁打 24四球28三振 出塁率.384

初球とフルカウントの割合がともに平均を大きく上回るという特異な傾向を持つ打者。フルカウントの打席割合20%は昨年100打席以上の打者の中で9位と優秀で、フルカウントでの出塁率は.538と結果も出ている。しかしもう一つの特徴である初球打ちでの打率は.276、ホームランはなしと物足りない。念願のレギュラー奪取のためには初球打ちでよりよい結果を出すことが必要だろう。

■谷繁(中日) 昨年の成績:打率.195 1本塁打 39四球36三振 出塁率.316

監督兼任となった昨シーズンは打率が2割にも届かず、ホームランも1本とさびしい数字が並んでしまった。しかし打席でのアプローチではまだまだ優秀な傾向を残している。3ボールでの打席割合は29%とNPB平均の19%を大きく上回っており、この結果として三振の数36を上回る、39個のフォアボールを選んだ。セ・リーグで三振よりフォアボールが多かったのは200打席以上の打者では谷繁を含めて5人だけ。出塁率の.319もキャッチャーとしては合格点だ。

■鳥谷(阪神) 昨年の成績:打率.313 8本塁打 87四球80三振 出塁率.406

こちらも毎年多くのフォアボールを獲得するタイプの打者だが、昨シーズンは例年より若干早めの勝負している傾向が見られた。2013年には深いカウント(3-1、3-2、2-2)での打席割合が42%に達していたが、昨シーズンは37%に下がった。この変化がよい結果につながり3年ぶりに打率は3割超。阪神はほかにもゴメス(3-2の割合が21%)上本(同19%)福留(16%)と深いカウントでの打撃を好む打者が多い。投手としては非常にやりにくい打線だ。

■丸(広島) 昨年の成績:打率.310 19本塁打 100四球95三振 出塁率.419

最も投手有利なカウントでの打席が少ない打者。0-2、1-2という圧倒的投手有利なカウントでの打席がわずか9%(平均21%)と非常に優秀。一方で3-2の打席は21%もあることから、2ストライクを奪われたあとにフルカウントまで持っていく技術が相当高いことが推測される。残る課題は初球へのアプローチ。昨シーズンは初球でのホームランが1本止まりだった。初球でもうすこし結果を出すことができれば理想の打者になれる可能性を秘めている。

■栗山(西武) 昨年の成績:打率.288 3本塁打 96四球100三振 出塁率.394

理想的な打席でのアプローチができている打者。初球打ちの割合は14%と高めな上に、3ボールの状況に持ち込むことがうまく、3-0、3-1、2-3の3つのカウントでの打席が全打席の31%を占めている。また、打者有利なカウント(3-0、3-1、2-0、2-1、1-0)での打席が平均より5%多く、投手有利なカウント(0-2、1-2、2-2)は平均より7%少ない。さらにフルカウントの打席も19%と高い割合だ。初球から打っていくが、その狙いが外れた場合でもボール球を見極めて有利なカウントを作ることができる。ストライクを先行されてもフルカウントまでもっていって出塁につなげる。という今回のテーマに最も適合する選手だ。
今シーズンはチーム方針から2番と打つことが予想されている。出塁能力には疑いの余地がなくまさに適任。後ろを打つホームラン王2人(中村、メヒア)や元打点王(浅村)が本来の力を発揮すれば相当強力な上位打線が形成されるだろう。