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オールスター未出場の実力者たち

今年もオールスターの季節になった。昨年は外野手として出場した日本ハムの大谷が今年は投手として出場、阪神の藤浪も高卒2年で2度目、巨人の坂本は25歳にして7回目、広島の堂林は22歳にして3回目と若くして常連化する選手たちがいる一方で、長年プロ生活を送りながらいまだこの舞台に縁のない選手たちがいる。今回はプロ生活が10年を超えながらまだオールスターに出場したことのない選手たちをポジション別に紹介したい。
(打者の成績は表1-1、1-2、投手の成績は表2-1、2-2を参照)

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■先発投手:安藤優也(阪神、13年目)

2ケタ勝利3回、3年連続で開幕投手を務めた実力者だが、ここまでなぜかオールスターに縁がない。11勝した2005年はオールスター後に7連勝、翌2006年は9月以降に6連勝、5月終了時に6勝していた2008年は6月を全休と活躍期間とオールスターの選考期間がかみ合わないのが一因か。

■中継ぎ投手:横山竜士(広島、20年目)

現役の未出場者の中では最もキャリアが長い選手。2001年にファン投票で中継ぎ投手部門が新設されたが、基本的に中継ぎ投手は選出されにくい。現役で100ホールド以上を記録している10投手のうち横山を含む4投手(日本ハム・宮西、ヤクルト・押本、ヤクルト・松岡)はいまだ未出場だ。

■抑え投手:小山伸一郎(楽天、18年目)

球団創設時から楽天のブルペンを支えてきたベテラン。2007年にはキャリアハイの16セーブ、防御率0.58と抜群の成績だったが、惜しくもすべて後半戦での活躍だった。ちなみに未出場の日本人で最もセーブを挙げているのはロッテの荻野忠寛だ。

■捕手:鶴岡一成(阪神、19年目)

捕手は基本的に3選手が選出されるため、チームのレギュラーであればほかのポジションよりも出場へのハードルは低い。今年もっとも初出場のチャンスがあったのはこの選手だろう。規定打席未到達の谷繁(中日)中村(ヤクルト)が選ばれる人材難のシーズンとなっただけに、レギュラーをつかみかけていた5月下旬の戦線離脱が痛かった。

■一塁手:吉村裕基(ソフトバンク、12年目)

2006年から3年連続で20本塁打以上、2008年にはリーグ5位の34本塁打を放っているが、2007年の一塁には栗原、ウッズ、2008年の外野には青木、金本、ラミレス、内川、和田、前田智とそうそうたるメンツに阻まれてしまった。そして以降は自身の成績が振るわずと、まさに巡りあわせに恵まれなかった選手の代表である。

■二塁手:田中浩康(ヤクルト、10年目)

歴代8位の通算288犠打で通算打率は.274、球界でもっとも2番打者らしい選手の一人。実績は十分だが、3年連続ファン投票で選出の東出(広島)そして荒木、井端の中日勢を超える決め手がなかった。

■三塁手:関本賢太郎(阪神、18年目)

人気球団で長く活躍している名脇役、今年は代打の切り札として活躍中。内野をすべて守った経験のある非常に使い勝手のよい選手だが、オールスター出場という観点からはそのポジションの定まらなさが裏目に出た格好か。ただ球団の大先輩・川藤は19年目にしてオールスターに初出場を果たした。代打の神様として来年はその再現を期待したい。

■遊撃手:後藤光尊(楽天、13年目)

オールスター未出場ながら通算1000安打を超えている2選手のうちの1人。2000年代のオリックスを代表する選手だが、こちらもそのユーティリティー性が出場を阻んだ面があるといえるだろう。ポジションごとに選手をノミネートするファン投票では固定されたポジションのイメージがない選手はどうしても不利になる傾向がある。

■外野手:栗山巧(西武、13年目)

現役で最も実績のある未出場選手、通算1212安打は未出場選手の中でトップの数字だ。長らく強豪西武の主力として活躍しながら、なぜか今まで出場がない。西武ドームで9年ぶりの開催となる今年は最大のチャンスだったがファン投票では5位と届かず。パ・リーグ外野手の層の厚さを証明する選手といえる。

■外野手:亀井善行(巨人、10年目)

2009年のWBCにサプライズ選出、シーズンでも主力として打率.290、25本塁打を記録したがこの年は出場ならず。2009年の赤松真人(広島)や2012年の明石健志(ソフトバンク)のように数少ない活躍年にピンポイントで出場を果たした選手は多いが亀井はその機会を逃してしまった。巨人で2000年以降に規定打席に到達した選手でオールスターに出場がない選手は、亀井と脇谷(現西武)だけだ。

■外野手:赤田将吾(日本ハム、16年目)

全盛期には西武の中心選手として2度の日本一を経験した松坂世代の代表選手だったが、活躍は長く続かず。それでも通算640安打はオールスター未出場選手中7位。

■指名打者:石川雄洋(DeNA、10年目)

今年10年目を迎えたDeNAのキャプテン。通算717安打は未出場選手中5位。入団当初から地元の有力選手として将来を渇望され、2010年には打率.294、36盗塁とブレイクしたがその後はあと一歩殻を破れていない。ただまだ今年で28歳、まだまだ出場のチャンスは十分だ。

ここまで球界である程度の地位を確保しながらオールスターに出場できていない選手たちを紹介してきたが、今年のオールスターで悲願の初出場を果たす選手たちもいる。中日の山井は13年目、ヤクルトの雄平は12年目にして初めてのオールスターだ。紆余曲折を経た選手たちがようやく夢の舞台に出場する姿を見るのも楽しみの一つ。今回名前を挙げた選手たちが一人でも多くその舞台へたどり着くことを期待したい。

まだまだ若いぞ!! 中日“オーバー30”

今年で40歳以上の現役プロ野球選手が何人いるかご存じだろうか。答えは14人。その中で、山本昌、谷繁元信、和田一浩、小笠原道大、岩瀬仁紀と、実に5人もの選手が中日に所属している。和田を除く4選手は、既に名球会入りしており、和田も順調に行けば今季中に名球会入りの資格となる2000安打を達成するだろう。若手の育っていない今の中日にとって、彼らベテラン選手や中堅選手の成績が今季の順位を左右するといっても過言ではない。

中日は公式戦3位で7月に突入した。が、苦手・巨人の前に接戦をモノにできず3連敗を喫するなど、1勝4敗で再び4位に逆戻り。そんな中日にとって実は、この7月が正念場。ここ10年を見ても、良くも悪くも7月の順位でシーズンを終えた過去が7回もあるだけに、気の抜けない1カ月となる。

打撃陣では、前述した和田や小笠原に加えて、森野将彦、大島洋平、ルナ、エルナンデスらが好調で、チーム打率も上昇中。一方の投手陣はというと、新人の又吉克樹と祖父江大輔、2年目・福谷浩司ら若手中継ぎ陣の頑張りはあるものの、1軍経験の少なさから勝ち越し、逆転を許す場面も少なくない。そこでケガから復帰した浅尾拓也や岩瀬ら、実績十分なベテラン投手の出番となるわけだが、こちらも状態が良くないのか今一つピリッとせず、接戦をモノにできない原因となっている(表1参照)。

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表2は、各球団の逆転勝敗数を点数別に表したもの。中日は、通算敗数に対する逆転負けの割合がヤクルトに次いで高く、38試合中16試合が逆転での敗戦となっている。表3では、先取点を取った試合での勝敗数をまとめた。中日はここでも、1点先制した試合において唯一勝ち越せていないという結果が出ており、リードを守り切れず、敗れる傾向が見受けられる。

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本来、落合GMや谷繁監督が目指す野球は、シーズン前にも話していたように「負けない野球」=「守り重視のゼロで抑える野球」だろう。そのためにも、打撃陣が好調なうちに岩瀬、浅尾らベテラン・リリーフ陣の復調が早急に望まれる。ここが安定し、今まで落としていた1点差ゲームを1つでも勝利に結び付けられれば、自ずと順位は上がるはず。また、上位との差を縮めるためには先発要員の確保も必要だが、こちらはエース・吉見に復帰の目途が立っており、山井、濱田とともに先発3本柱の形成が予想される。

若手に伸びてきてほしいのが本音だろう。しかし、まだまだベテランが衰えをみせない中日。「勝負の7月」に攻勢をかけるためにも、経験豊富なベテランが中心となって監督の目指す野球を形にできれば、巻き返しも十分可能だ。まだまだ中日の“オーバー30”の選手たちから目が離せない。

敬遠のうまいチームはどこ?

プロ野球には敬遠という作戦がある。守備側の都合で勝負する相手をある程度選択できるというほかの球技にはなかなかない作戦だ。自らピンチを広げることでピンチからの脱出を図るという、ハイリスクハイリターンな作戦をうまく活用しているのはどのチームなのか。今回は敬遠について調べていきたい。

12球団のここまでの敬遠数と成功率(得点をゆるさなければ成功)、敬遠した打者をまとめたものが表1。そして敬遠時の塁状況をまとめたものが表2である。この2つのデータをもとにチームごとの傾向をみてみたい。

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積極的なチームはヤクルト、日本ハム、ロッテ

■ヤクルト(試行回数11回、成功率55%)

12球団で最多となる11度の敬遠を行っている。比較的点差があっても試みるところが特徴的なのだが、同点の場面での成功率が83%なのに対して、ビハインド状態での成功率は25%、これ以上リードを広げられたくない場面での敬遠がことごとく裏目に出ている。今季よく見られる大量失点の原因はこのあたりにもありそうだ。ただし1死二塁での敬遠は見事で、5度あったこのケースのうち4度はダブルプレーで切り抜けている。

■日本ハム(試行回数11回、成功率73%)

ヤクルトと並ぶ11度の敬遠を行っているが、こちらは成功率も高い。3度の失敗も2度は続く打者を打ち取りながらその後の打者に打たれたもの。作戦の選択自体は間違っていないといえる。敬遠した打者の顔ぶれからもわかるように危険な打者を徹底的に避ける方針が好結果を生んでいるようだ。この方針がはまったのが6月17日阪神戦の10回。1死二塁で鳥谷を敬遠し、新井良を三振、続くマートンを再び敬遠し今成を打ち取るというまさに思惑通りの結果だった。

■ロッテ(試行回数10回、成功率80%)

成功率は12球団トップ。走者三塁での敬遠が4度、試合中盤の5、6回の敬遠も4度と塁状況よりも、勝負する打者を重視している姿勢がうかがえる。2度許した得点も犠飛によるもので敬遠後の被安打はいまだ0。名捕手だった伊東監督の眼力が十分に発揮されているといえそうだ。

消極的な中日、広島、オリックスは?

■中日(試行回数4回、成功率25%)

4回の敬遠で成功したのは1回だけ、その1回も次打者に四球を与えながらその後をしのいだもので、意図した結果とは言い難い。少ない成功体験が消極的な姿勢を生んでいるのだろうか。

■広島(試行回数3回、成功率33%)

ここまでの敬遠数はわずかに3回。4、5月はリリーフ投手が軒並み好調だったこともありピンチ自体が少なかったことで試行回数も少なくなっていた。最大の失敗は5月31日の楽天戦。同点の9回1死二塁から岡島を避けジョーンズとの勝負を選んだが結果は最悪のサヨナラ3ラン。敬遠の難しさを象徴するシーンとなってしまった。

■オリックス(試行回数0回)

オリックスの試行回数はなんと0回。しかしこの数字にはカラクリがあり実際には勝負を避けている場面はある。ではなぜ0なのか。実は公式記録上の敬遠(故意四球)は、キャッチャーが投球する前から立ち上がっていて投手にストライクを投げる意志がないと公式記録員が判断できる場合でのみ記録されるのだ。今シーズンのオリックスは勝負を避けるケースでもキャッチャーが立ち上っていないため、敬遠としては記録されていないのである。オリックス戦ご覧になるときにはぜひ注目していただきたい。

外国人との勝負は危険

最後に敬遠の成功率を紹介したい。ここまで敬遠が行われたのは79回、うち成功は50回で成功率は63%だった。絶対に点を与えたくないという場面であることを考えるとほぼ3回に2回という成功率は悪くないように感じられる。ただし注意したいのが外国人選手と勝負するケースだ。表3にまとめたようにこのケースは12度あって、結果は9打数4安打2犠飛。内野ゴロでの得点もあり、7度は点を許す結果となっている。とくにメジャーでも大打者だった、ジョーンズ(楽天)はサヨナラ3ラン、キューバの至宝セペダ(巨人)は逆転満塁ホームランを放っている。いくら調子がよくないとはいえバットで勝負してきた選手の集中力は軽視できないものがある。当たり前のこととはいえ相手をよく見て勝負を挑みたいものだ。

W杯開催中のプロ野球入場者数への影響は?

開催地ブラジルの勝利で幕を開けた、2014FIFAワールドカップ。地球の真裏での開催のため、寝不足との戦いが続いている方も多いのではないだろうか。25日には、日本代表が2大会連続の決勝トーナメント進出に向け、わずかな望みを懸けてコロンビアと対戦する。自力突破はないものの、4年間で培ってきた全てを出し切って我々をさらに寝不足にしてほしい。

■プロ野球も開催中!!

表1

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そんな世界的イベントが行われている期間も、日本のプロ野球は通常通り開催されている。巨人がソフトバンクを退け、2年ぶり2度目の交流戦優勝を飾りセ・リーグ公式戦順位を上げた一方で、公式戦首位だった広島は交流戦に入ってからの急ブレーキで2位に後退。こちらもW杯に負けず劣らず熱戦が繰り広げられているわけだが、世界規模のスポーツイベント開催による入場者数への影響はどうなのか、気になるところ。表1&2では、観衆の実数発表となった2005年以降に行われた夏季五輪とサッカー・W杯を例に平均入場者数をまとめた。開催場所と期間は以下の通り。

  • ドイツW杯 2006:6月9日から7月9日まで
  • 北京五輪 2008:8月8日から8月24日まで
  • 南アフリカW杯 2010:5月31日から6月30日まで
  • ロンドン五輪 2012:7月27日から8月12日まで

■W杯、五輪の影響は?

表2

表2

まず全体を比較してみたい。セ・パ両リーグの期間中平均入場者数と、各年の年間平均入場者数の間に大差がないことが分かる。つまり、五輪だからW杯だからといって全体としては大きな影響を受けていないことが見て取れる。また、アジアやヨーロッパ、アフリカといった開催場所による日本との時差の影響もないようで、そういう意味では、日本プロ野球が安定した人気を誇るスポーツであることがうかがえる。

次に各球団別に見てみたい。それぞれの球団で言えるのが、上記のようにW杯期間中や五輪期間中といった意味合いでの入場者数に対する大きな影響は少ない一方で、ソフトバンクや広島、DeNAのように入場者を着実に増やしているチームもあれば、入場者数の減っているロッテ、オリックスといった球団も存在する。これは、球団名を見て分かるようにチームの人気や成績の良し悪しが関係しているように推測される。

■やっぱりチームの成績や人気が要因

表3

表3

では、スポーツイベントより球団の人気や成績の方が入場者数に与える影響が大きいのか見てみたい。W杯が始まって10日間(2014年6月22日現在)のプロ野球の平均入場者数をまとめたものが表3となっている。各年それぞれ試合数にばらつきがあるものの、今年に限ってはこれまで以上の人々がプロ野球を観戦に訪れている。今年の観客動員数を大きく伸ばしている要因としては、好成績を収める広島やソフトバンク、オリジナリティー溢れるチーム運営を進めるDeNAに地域密着球団となった楽天などの人気球団の存在が挙げられる。安定した人気を誇るプロ野球では、W杯や五輪といった世界規模のスポーツイベントの影響を受けることは少なく、球団の成績はもちろんのこと、地域密着による人気獲得や集客力アップに向けての努力が入場者数へ大きく影響を及ぼすことが改めて分かるとともに、根強いプロ野球人気を再確認した。