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セ球場で“打ち上げ花火”増!?

サッカーと言えばゴール、ボクシングと言えばKO、キャンプと言えばバーベキュー。それぞれのシーンにそれぞれの一番盛り上がる光景があるように、野球にもある。それがホームラン(以下HR)。見るもの全てを虜にし、興奮させてきたHRを25日から始まった交流戦セ・リーグ主催試合では、数多く目撃できるかも知れない。

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セ・リーグ主催試合でDH制採用

それを後押ししているのが、「セ・リーグ主催試合での指名打者(DH)制採用」。これは、今年の開催で10年目を迎えたプロ野球セ・パ交流戦の目玉企画として採用されたもので、昨季までの「パ・リーグ主催試合のみDH制を採用する」というものを「セ・リーグ主催試合のみ」、つまり逆にするという試みである。

では、なぜそれがHR数の増加を期待させるのかを、表から考察していきたい。表のHR数は、交流戦初年度2005年から今年の5月24日までを対象に各球場で打たれたHR数をカウントし、上位14球場をまとめたものとなっている。

東京ドーム、横浜、神宮…

まず、各球場の「外野スタンドまでの距離」に注目してみたい。セ・リーグには、もともとドーム球場を本拠地とする球団が少ないこともあり、同リーグの球場の方が両翼スタンドまでの距離が比較的短い傾向にある。セ球団では東京ドーム、マツダスタジアム、ナゴヤドームが両翼100mを超えているのに対し、パ球団では西武ドーム、札幌ドーム、ヤフオクドーム、コボスタ宮城、京セラドーム大阪の5球場で両翼100mを超えている。広い球場に慣れたパ選手にとってはセ球場開催はスタンドインのチャンス増と言える。

次に「打たれた球場」について。やはり上記の結果通り、比較的狭いセ・リーグ球場(東京ドーム、横浜、神宮)が上位3位までを独占している。上位10位までを考えてみるとセ・パ各5球場ずつがランクインしているものの、6位甲子園以下のHR数は、上位4球場のそれから大幅減の数字となっており、いかに多くのHRが上位3つのセ・リーグ球場で飛び出しているかが見て取れる。

高橋由、ロサリオらの起用も

さらに、この目玉企画を喜ばしく捉えるセ球団も多いはず。HR数1位の東京ドームを本拠地とする巨人は、正捕手・阿部慎之助が不振な上にケガがちという状況下で小林誠司を育てる意味合いや、普段はベンチに控える好打者・高橋由伸らのDH起用が考えられる。また、広島では高い打撃力を誇るロサリオ、DeNAでも守備に難のあるブランコらのDH起用が有力だ。各球団とも普段の公式戦と比較するとパワーアップした重量打線を組んでくることが予想されるだけに、セ球場では数多くの “打ち上げ花火”が見られるのではないだろうか。

交流戦10周年 最強はホークス、最弱は?

20日に開幕するプロ野球の交流戦、今回は節目となる10度目の開催となる。そこでこれまでの9年を振り返りつつ今シーズンを展望してみたい。

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圧倒的強さのホークス、負の歴史を払拭したいカープ

まずはこの9年のチーム成績から。表1と2はこれまでの戦績をまとめたものだ。交流戦で圧倒的な強さをみせているのは現在パ・リーグ2位のソフトバンク。最多4度の優勝を誇り、チーム別の対戦成績もセ6球団のすべてに勝ち越している。通算成績は141勝90敗、9年間で51もの貯金を生み出しまさにボーナスステージ状態だ。今年も当然期待は大きいのだが、唯一の心配は先発陣だろう。これまでは交流戦独特のゆとりある日程を生かし、強力な先発陣をフル回転させてきたが今年はエース摂津に例年の安定間がなく、10日出場登録を抹消されてしまった。エースの復調が5度目の戴冠へのキーになりそうだ。そのソフトバンクを追いかけ得るのが日本ハム。優勝こそ2007年の一度だけだがそれ以降負け越しはなし。対戦成績でも巨人以外の5球団に勝ち越している。ここにきてチームの調子も上がっているだけに今年も期待できそうだ。
一方のセ・リーグ6球団は近年成績がさえない。巨人が2012年にセ・リーグ初の優勝を果たしたものの、2010年以降に勝ち越したチームは5チームだけ。そのうち4度は巨人と中日というありさま。今シーズン驚異的な快進撃で首位を走っている広島も4年連続負け越し中で、勝ち越したのはスーパーエース・ルイスのいた2008、2009年だけ。2009年のロッテ戦では1イニング15失点、2011年には5試合連続完封負けを含む10連敗を喫するなど交流戦にいい思い出は少ない。ここまでの強さは本物なのか、20日の開幕からいきなりの対戦となるソフトバンク戦で真価が問われることになりそうだ。そしてその広島よりさらに勝てないのがDeNAである。2008年以降6年連続で負け越し中。ソフトバンク、オリックスに15もの借金を負わされているのをはじめ、すべての球団相手に負け越している。ただし今年は交流戦中にキューバの至宝グリエルがチームに加わる。さらに主砲ブランコも一軍に復帰した。打者有利な本拠地横浜スタジアムで指名打者が使用できる今シーズンはこれまでと一味違うところをみせられるだろうか。

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8年目大崎ブレイクなるか、オリックス打線にも注目

次に交流戦で、活躍が予想される選手たちを紹介したい。まずは打者から。表3は交流戦打率がセ・パリーグ戦の打率を上回っている選手上位10人のリストである(交流戦通算150打席以上)。1位はなんと西武の大崎で、打率を1割1分も上昇させている。交流戦打率.352は150打席以上の現役打者でトップの数字だ。たまたまでは?と思われる向きもあるだろうがそうでもなさそうなデータがある。交流戦で150打席以上の選手のうち、リーグ戦より三振率(三振÷打席)が1%以上下がっているのはわずか7人、四球率(四球÷打席)が1%以上アップしているのは22人いるのだが、大崎はその両方に該当し、ともに2番目によい数字(三振4.2%ダウン、四球3.6%アップ)なのだ。三振が減って、四球が増えるのは打席でのアプローチが成功している証でもある。これまでレギュラーに定着しきれていなかった選手だが、今シーズンは過去最多ペースで出場が増えている。絶好のタイミングで始まる交流戦で遅咲きのブレイクを果たしてほしい。そのほかので注目はオリックスの2人、坂口と糸井だ。坂口は2011年の.412を筆頭にフル出場した5年のうち4度3割超をマークしている交流戦男、現在首位打者の糸井も交流戦は大好物でレギュラー定着後の5年すべて.310以上の打率を残している。オリックスにはほかにも高橋、山崎勝など交流戦のほうが好成績の打者が多い。ここまで2位と好調だが勢いはなかなか止まらなさそうだ。

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そして先発投手のリストが表4である。こちらも意外な名前が並んだ。1位はソフトバンクの寺原。オリックスでの2年間で6勝を挙げるなど交流戦はめっぽう相性が良かったのだが、今年は開幕直前で故障してしまった。ソフトバンクではほかにウルフ、山田の両投手も好成績。ウルフは通算で7勝2敗、防御率の1.85も10先発以上の投手では中日の吉見に次ぐ2位の数字である。しかしこちらも18日の試合で右ひじを負傷して降板。寺原に続く戦線離脱となれば例年にない苦戦を強いられることになるかもしれない。セ・リーグで注目は広島の野村。現在は不調で2軍降格中だが、新人王となった2012年に防御率2.45で2勝、昨年も2.51で3勝と好内容、得意の舞台での復調に期待したい。

広島からサプライズ!? “ザック”にお任せ!!

7日阪神戦でスクランブル登板にもかかわらず、プロ初先発で初勝利&初完封をやってのけた中日・浜田達郎投手。予告先発の川上憲伸投手が、ぎっくり腰で登板回避したことにより巡ってきたマウンドで、9回11奪三振と結果を出した。それまでリードを許した展開で2試合に登板し、3回1/3を1失点に抑え、首脳陣の信頼を得てきた。この日の大仕事で谷繁元信兼任監督からも「次もチャンスを与えないわけにはいかないでしょう」と最大級の賛辞をもらった。数少ないチャンスで結果を残さないと生き残れないプロの世界。今回は「次は自分の番だ」とばかりに1軍での活躍を夢見て、虎視眈々とチャンスをうかがう2軍選手をご紹介したい。

今後注目はこの選手!!

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今後活躍が期待される選手としては、表1にある投手3人と表2の野手2人の計5選手が挙げられる。投手では、ファーム3、4月度月間MVPに選出された巨人・土田瑞起投手、現在ウエスタン・リーグ トップタイの5勝を挙げているソフトバンク・飯田優也投手、そして先日10日に1軍昇格を果たしたばかりの広島・ザック・フィリップス投手。そして野手では、土田投手同様にファーム3、4月度月間MVPに選出されたソフトバンク・猪本健太郎捕手、14年ぶりに高卒新人でキャンプ1軍に抜てきされるなど三拍子揃ったDeNA・関根大気外野手らに注目していただきたい。各選手の2軍での成績は表の通りとなっているが、中でもチャンスが“いま”到来している投手3人について取り上げたい。

ソフトバンクに次世代のエース出現か

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まずはソフトバンク・飯田投手から。最大の魅力は奪三振数で、その結果が防御率と勝利数に反映されている。2012年の育成枠でプロ入りした昨年は、リリーフとして20試合に登板し1勝2敗、防御率2.32、奪三振54とまずまずの成績を残すも支配下登録とまでは至らなかった。迎えた今年は、先発投手として勝負を懸けると、リーグトップの勝利数を挙げるまでに成長。さらに持ち味の奪三振数も同じくトップタイの成績で、ソフトバンク次世代のエースと言っても過言ではないだろう。飛躍の理由には、昨オフのウインターリーグ参加が挙げられる。これまでも、中村晃、柳田悠岐、今宮健太ら現在1軍で活躍する若鷹が辿った道で、飯田もそこで積んだ経験が、いま結果として表れ始めている。そんな飯田は11日に支配下契約を結んだことが球団から発表された。摂津正投手と寺原隼人投手がケガで戦線を離脱している今、飯田の力が試されるチャンスがやってきてもおかしくはない。

首位・広島にまたしても嬉しい悲鳴

続いて先日10日に1軍昇格を果たし、既に2試合に登板しているザック・フィリップス投手。昨シーズン終盤に今季の新戦力として獲得した左腕で、在籍したマーリンズ傘下の3Aでは59回を投げ74奪三振、奪三振率11.3と驚異の数字を誇る。そして日本初シーズンとなる今季もアメリカでの実績そのままに、2軍戦16試合で7セーブ、自責点0と結果を出し続けている。さらに、その奪三振率は日本でも衰えることを知らず、17回を投げて奪った三振が28個、奪三振率14.8と他を圧倒。しかし、それほどの実力がありながら昇格が今になったのには理由が…。それは、広島の獲得した外国人選手がことごとく結果を出していることによる外国人枠の問題だ。「嬉しい悲鳴」ではあるのだが、規則として4人までしか同時に1軍登録できず、エルドレッド、キラ、バリントン、ミコライオと好調維持する4選手に割って入ることができずにいた。しかし、抑えのミコライオがケガで登録を抹消されたことにより出番が回ってきた形で、今のところ1軍に慣れるためもあってか、勝敗に関係なく最後の抑えを任されている。広島ではほかにも、ロサリオというバッターが1軍で結果を出したにも関わらず枠の問題で2軍に在籍しており、次から次に外国人選手が活躍する広島にあって、全外国人選手が大当たりというサプライズを起こすことができるか。

巨人に救世主誕生!? そこには広島・一岡との間に不思議な縁が…

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最後に巨人期待の若手投手・土田瑞起。11年の育成枠で入団し2年目にイースタン・リーグ記録となる62試合に登板し防御率2.56を記録するなど、広島に移籍した一岡竜司投手とともに2軍リリーフ陣をけん引した。シーズンオフにはウインターリーグに参加し、実績を積むとそれが評価され、球団史上初となる育成選手として今年の春季キャンプに参加した。その後支配下登録されて、現在2軍のクローザ―として存在感を示している。そんな土田選手と一岡選手との間には、実は不思議な縁が存在する。それは先に述べたウインターリーグ参加でのこと。クローザ―としてウインターリーグで活躍していた一岡選手がケガしたことにより、代役として急きょ派遣されたのが土田選手だった。そこで8試合に登板すると防御率0.75で5セーブの活躍をした。

勝利の方程式再建へ

そんな土田投手の今季の成績は表1の通りで、16試合に投げて自責点0は評価に値する。ウインターリーグでも7試合連続無失点に抑えた経験があるように、安定感が飛躍的に増している。そこで表3に示した「巨人1軍リリーフ陣の塁状況別被打率」をご覧いただきたい。現在不調で2軍落ちした西村投手に至っては、走者の有りなしに関わらず、3割を超える被打率となっている。山口投手が「走者なし」で5割超え、マシソン投手も「得点圏」では4割を超えるなど、各人それぞれに問題を抱える今のリリーフ陣。そんな中、カテゴリーが違うとはいえ、土田の2軍での成績は1軍で試してみたくなる数字だ。西村が不在の1軍リリーフ陣に、今一番勢いのある土田を投入することで、勝利の方程式再建へ希望の光が灯るのではないだろうか。

防御率5.69、ヤクルトのリリーフはなぜ打たれる?

プロ野球開幕から1か月をすぎ、広島やオリックスなど低迷期の長かった球団が躍進を果たしている。その一方でヤクルト、DeNA、西武の3チームは勝率3割台と苦戦中だ。いったい勝てない理由はなんなのか?それぞれのチームの事情を探ってみた。

■西武 深刻な得点力不足は解消できるのか?

パ・リーグ最下位に沈む西武、大型連敗こそ避けられているものの、3連戦での勝ち越しはわずかに2回と上昇のきっかけをつかめていない。その原因は打撃不振につきる。チーム得点数102、チーム打率.227、ホームランの13本はすべて12球団で最下位と打線の迫力は皆無に等しい。先月25日には主砲・中村が復帰したが、その後の9試合の平均得点も中村復帰前と変わらず3点強と状況は好転していない。DeNAを戦力外になった森本が本来のポジションである外野ではなく一塁でスタメン出場するなど、打者の人材不足は深刻な状況だ。

<表1>

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表1は主な打者の得点圏での成績だ。得点圏打数が10以上の選手で得点圏打率が3割を超える選手は渡辺。ほとんどの選手が2割前後というひどい状態であることは一目瞭然であるが、とくに注目していただきたいのは三振の数だ。ランサムの15を筆頭に安打よりも三振のほうが多い選手が目立つ。チーム全体での得点圏三振率は.299、パ・リーグ5球団の平均が.209であることからみても非常に高い数字といえるだろう。チャンスの打席でバットに当てることすらできない選手がこれほど多くいては得点が入らないのは道理だろう。
もちろん三振が多いことは悪い面だけではない。じっくりボールを見ていくことの副産物として三振が増えてしまうのは仕方のない面もある。実際西武の四球数はリーグトップの127。出塁数を増やすという面では成功している。しかし、出塁してもそれを返す打者がないのでは意味がない。チャンスで積極的に振っていけるタイプの打者の起用、西武の得点力回復にはこれが必要ではないだろうか。

※注目選手 アーネスト・メヒア

ランサムの不振を受けアトランタ・ブレーブスから獲得した強打の一塁手。メジャーリーグの経験はないもののブレーブスの40人枠には入っておりそれなりの期待は受けていた。マイナーリーグ通算864試合で572打点、3Aの通算でも287試合で199打点と打点を稼げるタイプで、補強ポイントにはぴったり適合している。今シーズンはブレーブス傘下の3Aで開幕から3試合連続本塁打、4月12日からは5試合連続マルチ安打を含む12試合連続安打と絶好調な状態での来日となった。
NPBに適応できるかという最大の問題はもちろんあるが、まだ28歳と若く、当たればチームの救世主となる可能性を感じさせる選手だ。

■ヤクルト 場当たり感を感じる投手起用でリリーフ陣が崩壊

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4月中旬に9連敗を喫し、下位に低迷するヤクルト。バレンティン、畠山など打線には実力者や好調な選手が多く得点力はリーグトップクラスだ。しかし小川、館山の両エースを筆頭に投手陣には故障者が続出。とくに救援投手陣は防御率5.69の惨状で、点をとってもそれ以上に失っている。

表2は投手の苦しい台所事情を表したもの。今シーズン同点の場面で登板したリリーフ投手はすでに8人、3点以内のリードで登板した投手も6人と役割が固定できていないようすが見て取れるだろう。さらに結果をみてみると同点での15登板のうち8度は勝ち越しを許している。3点リードの場面でも失敗(走者をためて降板、同点&逆転を許す)が半分とまったく役目を果たせていない状態だ。

なぜこれほど救援に失敗するのか?その原因と思われるのが「ピンチを作ってからの投手交代」だ。ここまでの試合でヤクルトの投手が得点圏にいる状態で登板したのは19回にも及ぶ。この数字がいかに多いかは投手陣の好調な広島の場合5回しかないということでお分かりいただけるだろう。ピンチでの投手交代は結果に対するリスクが非常に高い。走者を残して降板した投手への信頼は降板した時点で失われ、登板した投手は失敗の許されない状況でのピッチングを余儀なくされる。そして失敗した場合には2人の投手への信頼が同時に失われてしまうのだ。

この「危険な継投」を繰り返すことでベンチには信頼のおける投手がいなくなり、”その日調子のよさそうな投手”や”直近2,3試合で結果を残している投手”などが日替わりで起用される状況に陥ってしまうのである。その場はしのげたとしてもチームの状態として好ましいものではないだろう。

5月1日の試合では同点の6回に登板したカーペンターが勝ち越しを許したが、イニングの最後までは投げきった。結果はうまくいかなかったもののこういう形の継投を継続することができれば投手陣の役割分担もできてくるのではないだろうか。目先の試合結果だけにとらわれない投手起用が浮上へのポイントになる。

※注目選手 秋吉亮

走者がいる状況を苦手とする投手が多い中でルーキーの秋吉の投球内容は注目に値する。ここまで11試合に登板して防御率3.92で0勝3敗と一見パッとしないものの、与えた四球は2、得点圏での被打率は13打数で0安打とリリーフ投手としての高い資質を感じさせる数字を残している。すでに5本のホームランを浴びている点は課題ではあるが、総崩れのブルペンを立て直す際の中心選手として活躍を期待したい。

■DeNA 課題の投手陣は改善せず。しかし打線は強化された

昨シーズンはついに最下位を脱出、さらなる前進が期待されたシーズンだったが開幕からDeNA初年度を上回るペースで黒星を重ねてしまった。しかしここにきて初の4連勝を記録するなど上昇の兆しが出てきている。

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開幕からのつまずきの原因となったのは先発投手だ。表3にあるようにほぼ半数の試合で初回に失点、3回までに失点した試合は全体の75%にも及んでいる。この結果多くの試合で先手を奪われることになり、ここまでにDeNAが先制した試合はわずか8試合。昨年のNPBで先制したチームの勝率は.668である。ほとんどの試合を不利な状況で始めてしまっては勝てないのも無理はないだろう。

しかし投手の質を急に向上させることはできない。先手を取られてしまうことが多い状況を踏まえたうえで、より多くの得点を奪うために攻撃することが勝利への道となるだろう。DeNA打線は昨年より確実に強化されている。昨年28試合を消化した時点での得点数は111、今シーズンは123。打者の出塁率と長打率は昨年が.314/.371、今シーズンが.321/.376。一見変わらないように見えるが昨年のこの時期爆発的に打っていたブランコが今年は半分以上の試合に出場していないことを忘れてはならない。表4はブランコの成績を抜いた昨年と今年の打撃成績の比較だ。ブランコ頼みから脱却しDeNA打線は確実に強化されているのだ。ブランコの復帰が予定される交流戦からはさらに破壊力を増した打線の姿が見られるのではないか。

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投手陣全般という大きいウィークポイントは確かにある。これは一朝一夕には解決できない問題だ。しかし打線というストロングポイントを前面に押し出しこれをある程度カバーすることはできるだろう。強化された打線で昨年以上を目指してもらいたい。

※注目選手 三上朋也

いくら打ち勝つといっても最後だけは投手が締めくくらなくてはいけない。もっとも厳しいポジションをルーキーながらつかもうとしているのがドラフト4位で入団した三上だ。13試合に登板して失点はわずかに1、17イニングで18個の三振を奪い、なによりすごいのはここまで走者がいる状況で打たれた安打はまだ0だということ。試合展開上まだセーブシチュエーションでの登板はないが、守護神としての可能性は十分。初セーブの瞬間を楽しみに待ちたい。

(文中の成績は5月4日現在)

単独首位!カープ好調の理由とは?

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広島の勢いが止まらない。4月の月間勝利数16は球団新記録、27日の巨人戦はプロ野球史上初となる月間3本目の延長サヨナラホームランで勝利と、記録ずくめの快進撃で首位をキープしている。昨シーズンは16年ぶりのAクラスと球団史上初のクライマックスシリーズ進出を決めるなど、それまでの低迷がウソのような躍進。さらに、今シーズン開幕前には多くの評論家がAクラス入りを予想するなど、“一強”巨人の対抗馬として名前が挙がるほど期待のチームとなった。そんな期待に応え首位をひた走る、広島カープの強さの理由を検証していきたい。

4月27日を終えての広島の成績は表1の通り。防御率はいかにも首位のチームらしく、堂々リーグ1位の成績を残している一方で、打率はリーグ5位、「勝っているとはいえ今年も打線はたいしたことないな」というデータが出ているわけだが、実はそこに強さの秘密が隠されていた。

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今シーズンの広島必勝スタイルは、スバリ「先制攻撃」。前述のとおりチーム打率はリーグ5位、得点数もリーグ4位タイと平凡だが、先取点を取った試合数は阪神と並んでリーグトップとなる17試合もあるのだ。なぜこんなに先制できるのか?その理由が表2にある。これはセ・リーグ6球団の初回の得失点数と、本塁打数をまとめたもの。広島の得点数はヤクルトに次いで2位の18点。そして本塁打数はトップの6本。チーム得点数の約15%、本塁打数の20%を初回に集中しているのだ。初回は必ず一番打者から始まるため、もっとも攻撃のイメージが作りやすいといえる。その初回に多くの点を奪えているという事実は、野村監督の攻撃プランが想定通り実行されていることを示しているのではないだろうか。

さらに特長的な点は失点の少なさだ。ここまでに初回に失った点はわずかに5。一度に2点以上を奪われた試合はまだない。チームの最大の武器である先発陣が非常に安定した立ち上がりで試合を作っているといえるだろう。理想的な先制攻撃と、先発投手の安定した立ち上がり、この相乗効果によって多くの試合で先手を奪うことに成功しているのである。

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そして昨シーズンと大きく違う点が1つ。それが先制点を挙げた試合の勝率だ。昨シーズン先制した試合の勝率は.701。しかし今シーズンはリーグトップの.882と大きく向上している。絶対的守護神のミコライオ、ケガから復活を遂げ昨年後半から好調維持する永川勝の2人に加え、今シーズン急成長を見せる中田、そして巨人にFA移籍した大竹の人的補償で加入した新戦力・一岡で構成される救援陣が先制点を勝利に結びつけているのだ。その活躍ぶりをまとめたものが表3となっており、彼らの活躍なくして現在の順位は考えられないと言っても過言ではない。

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また、救援4投手の登板と試合結果の間にも今年の広島が目指す野球が見て取れる。4投手のここまでの登板と試合の結果をまとめたものが表4となっている。青色になっている部分が敗戦を喫した試合だが、4月10日の巨人戦を除いて4人の登板はない。この試合では、1点ビハインドの状況で中田、一岡を投入し、結果的には追いつけなかったのだが、「勝ちに行く」という意味合いでの両投手の登板だったと思われる。しかしそのほかの6試合では、先発投手がリードを奪われた状態で降板し登板機会なし。「勝ちにいく試合だけ4人を投入する」ことが徹底され、これが重要なのだが、「勝ちに行けば勝っている」のだ。

さらに彼らの登板間隔にからも広島の強さが見えてくる。ここまで4人すべてが登板したのは3試合だけで、3連投した投手はまだおらず、一週間に4度登板したのも一岡の一度だけと、決して無理使いされていないのである。これはチーム内での投手の役割分担と、それに応じた投手起用が的確になされている証拠であり、そのプラン通りに試合が進むことで勝利が積み重ねられているのだ。そして思わぬ幸運も味方している。ここまでの日曜日でこの4投手が登板したのはわずか3回。偶然ではあるが日曜日とゲームの行われない月曜日の2日間、しっかりと休みが取れていることも好調の一因となっていそうだ。選手の成長と、的確な投手の運用が「投」に隠された強さの秘密と言える。

プロ野球界では「カープは鯉のぼりの時期まで」とよく言われる。鯉のぼりの時期までは好調だが、その後は失速するのがカープだ、という意味。確かにそういうこともあった。開幕から全力を出して勝ちに行くもののケガと疲れによって失速し、最終的には下位に沈むことも多かった。しかし、今年は違う。投手陣の充実に加え、我慢して起用してきた丸、菊池、堂林の成長、さらに新加入選手やルーキーの活躍で、これまで薄いと言われ続けてきた選手層にも厚みが増した。野村監督の采配にもシーズン終盤を見据える長期的な目線が感じられる。この強さは勢いだけではない。チーム一丸となって、1991年以来の優勝まで加速し続けてほしい。